
経営者が考えるニューノーマル
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言が解除され、感染拡大を防ぎながら、経済活動を続けていく段階に入りました。今後の感染状況によっては、外出自粛要請が強化される懸念があるものの、私たちは「Withコロナ時代」に対応した新しい生活様式での日常に一歩、足を踏み出したと言えるでしょう。人々の価値観、生活、働き方が変わるとき、そこにはリスクがあると同時に新たな市場を開拓するチャンスも生まれます。そして、その可能性を組織内で最も先に見出しているのは、経営者です。
いま企業は、これからの消費者に寄り添う、どのようなサービスを提供しようとしているのでしょうか。月刊『宣伝会議』では各業種・業界のトップランナー企業のリーダーたちに、次なる構想を取材。先を見据える経営者の構想に、これからのマーケティングのヒントがあります。

宣伝部長に聞く変革時のブランド&メディア戦略
メディア環境が大きく変化するなか、広告・コミュニケーションは大きな転換点を迎えていました。そんな折に起きたのが、新型コロナウイルス感染症の流行。人々の意識や行動が大きく変わり、また非接触のコミュニケーションの拡大で社会全体のデジタル化が大きく推進されようとしています。この状況でいま、企業のマーケティング・コミュニケーション活動を牽引する宣伝部長は何を考え、これからの戦略をどう組み立てようとしているのでしょうか。そして、いまこの環境でコミュニケーションにできることとは何なのでしょうか。105社の宣伝部長への匿名アンケート、ならびに38社の宣伝部長の実名コメントから、変革期の「ブランド&メディア戦略」を読み解きます。

顧客エンゲージメントでコロナ禍を乗り切る!
既存顧客向け施策の重要性は認識しながらも、短期的な成果が表れづらいこともあって、マーケティング戦略上、新規顧客の開拓が優先されるケースは珍しくありません。そんな状況を一変させたのが、今回の新型コロナウイルス禍です。リアル店舗を主力チャネルとしていた企業にとっては、新規顧客と接点を持つことすら難しい状況になりました。顧客と会えない時代。いま、「エンゲージメント」の重要性が再認識されつつあります。今号では、アフター/ウィズコロナ時代まで見据えて顧客とつながり続けるためのヒント、「エンゲージメント」の価値、その本質に迫ります。

2030年 人口動態の変化を見据えた新市場開拓の戦略
2015年から2030年にかけて、日本の総人口は1億2709万人から1億1913万人(-6.3%)へと減少。65歳以上の割合は、26.6%から31.2%(+4.6%)へと上昇します。人口減少や高齢化が不可逆的な時代に、マーケターはどのように対応していくべきでしょうか? 人口や世帯構成の変化、その推計データを紹介しつつ、その変化に対応したこれからのマーケティングの在り方を最前線の方々の考察から探っていきます。

「顧客体験」戦略 その設計から改善まで
消費者が求めるものは、モノの所有から利用へ。そして、機能的価値から情緒的価値をより重視する流れへと移り変わってきています。これらの消費スタイル、意識の変化は、いまやあらゆるマーケターにとって避けては通れない課題となっています。こうした環境下で選ばれるブランドになるための方法として注目されているのが、商品・サービスの購入前後に及んで一貫した「体験」を顧客に提供し、さらにその質を高めていくこと。競争力の源泉となる顧客体験(カスタマーエクスペリエンス/CX)向上に取り組む企業が増えています。一方で、「体験」は形ないものであるために定義や効果の可視化も難しく、実践が難しい側面もあります。では、一体どのようなアプローチであれば実現できるのか。「顧客体験」設計と、その価値向上の取り組み方法を紹介していきます。

人が「メディア」になる時代 インフルエンサーマーケティング
インターネットの登場以前から、消費者の口コミは消費行動に影響を与える存在でした。それが企業による一方的な発信では、なかなか消費者に情報が届きづらくなっている状況の中で、第三者による発信をマーケティング活動に戦略的に取り入れる視座がますます必要になっています。折しも消費者の発信力が高まり、人が"メディア化"する状況も生まれています。そこで注目されるのが、各領域に存在するインフルエンサーと呼ばれる、ターゲット層の意識や行動に影響を与える人たちの存在。しかし、昨今はステルスマーケティングの問題がメディアでも取りざたされるように、インフルエンサーと企業の関わり方には難しさも伴います。特集ではインフルエンサーと呼ばれる人たちが、消費に大きな影響を与えている現実を前提としながら、単なる流行りの手法として捉えるのではなく、その本質を理解したうえでの実践の方法を探っていきます。

採用活動のマーケティング戦略
労働力人口が減少するなか、人材戦略はこれまで以上に企業にとって重要な課題になっています。加えて、人材の流動化も進み始める現在では、選ばれる企業になるための人材市場におけるブランド戦略も必要です。この課題を解決するのが、マーケティング発想ではないか、との仮説のもと、本特集を企画しました。端的に言ってしまえば、人に働きかけることがマーケティングの重要な機能。そう考えると、働きかける対象となる人は、消費者には限らないはずです。
最前線の企業の取り組みを中心に、人材採用、従業員エンゲージメントについてマーケティング発想の取り入れ方を考えていきます。

「ポスト2020」広告マーケティングの行方
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がいよいよ2020年に開催される。注目が集まる年だが、ひとつの転換期として、その先である2020年以降に目を向けていく必要がある。人口の減少、少子高齢化などといったさまざまな問題が考えられる日本において、これからの広告・マーケティングをどのように考えていくべきか。その参考となるよう本特集では、宣伝会議編集部が注目するキーワード、メディアなどについて取り上げていく。

多様化する時代 広告表現のリスクと対応
ステレオタイプではない多様な生き方、考え方を尊重することが、組織や社会の活性を促し、それはイノベーションの起点ともなりうる......。企業、あるいは社会全体でいま、ダイバーシティを尊重する気運が高まっています。
しかし広告表現においては、多様な社会の価値観に向き合う視座が求められたのは最近のこと。広告がクレームや炎上の対象になる事案も目立ちます。いま広告の発信者、つくり手には、多様性に対してどのように想像力を働かせることが求められ、また発信に際して覚悟が求められているのでしょうか。
本特集では広告界の最前線で消費者と向き合うクリエイターの方々の視座を中心に、考察していきます。

人生100年時代のマーケティング戦略
国の政策、さらには産業界においても「人生100年時代」という言葉を目にする機会が増えました。長寿命化を見据えた時、経済・社会システムの再構築はもちろん、私たち一人ひとりにおいても、どう暮らし、そして生きるのか、新たな人生設計が求められています。それでは、これまでにロールモデルが存在しない、新たな人生をデザインしようとする生活者に対し、企業は商品・サービス、さらにコミュニケーションでどのような支援ができるのでしょうか。その支援が支持されれば、これまでにない需要や市場を開拓することも可能です。特集では商品・コミュニケーション開発を中心とする最先端の事例をもとに、「人生100年時代」のマーケティングの在り方について考察していきます。

大調査 ブランド・マーケターの仕事
昨今、「マーケター」という言葉が様々な場で使われるようになりました。その言葉が意味する範囲は広く、どのような実務を行っているのか実態が掴みづらくなっています。今回の特集では、「事業会社内で、特定のブランド・事業を対象にマーケティング実務を実行する人」を対象にアンケートを実施。時代の変化、消費スタイルの変化に左右されずに、支持され続けるブランドをつくるために、どのような役割を担っているのか。今日的な「マーケティング実務の内容と範囲さらには課題」について考えていきます。

脱 大量生産・大量消費 サステナブル・マーケティング
環境問題、エネルギー問題、労働問題など......地球規模で起きている社会課題に対して、産業界においても、企業が主体的に解決の責任を担っていくべきだとする考えが強まっています。現在問われているのは、これまで当たり前とされてきた『大量生産・大量消費』という暮らしからの脱却であり、生産と消費の在り方の大転換です。世界的にも「持続可能な社会の実現」が重視され、SDGsの策定などの動きが起きています。企業が考えるべき、これからの社会におけるマーケティングの考え方、アプローチについて考えます。

社会を進化させるコミュニケーションの知恵
月刊『宣伝会議』創刊65周年記念号では、広告界が培ってきたコミュニケーションの力が今後、社会の中でいかにして活躍の幅を広げていけるのか、その可能性について広告界のトップランナーの方たちの構想を聞きました。広告という手段を通じ、企業の課題を解決してきた広告界のクリエイティビティは今後、どのように社会の中で貢献の幅を広げていけるのか。広告クリエイティブ産業と、その人財の未来を考えます。

機能を超える、価値をつくる!コモディティ時代の商品開発
日本市場では商品の機能性だけで差別化がしづらい、コモディティ化が進んでいると言われて久しい状況です。それでは、この環境において「何を目指して」、商品を開発すればよいのでしょうか。本特集では、技術開発以外の「商品開発」の新たな基軸を最先端の企業、事例から考えていきます。消費者が「独自性を持った価値」を感じることができることをゴールに、これからの商品開発のアプローチを考えます。

メディア接触&コンテンツ消費
1970年代後半から日本でも商圏特性に合わせた、エリア・マーケティングという概念が浸透していましたが、インターネット、スマートフォンの浸透で日本中、どこのエリアにいても、同じようなコンテンツに接触できる環境が生まれているとの仮説も立ちます。はたしていま、地域ごとにどれほどメディア接触・コンテンツ消費環境は異なるのでしょうか。広告・プロモーション戦略に欠かせない「47都道府県別のメディア接触&コンテンツ消費」状況についてレポートしていきます。

新しい「メディアの教科書」
かつて広告実務の教科書では、テレビは「認知」媒体、新聞は「理解」を促進し、「雑誌」や「ラジオ」は「絆」を深めることに秀でているといった、各マスメディアの広告メディアとしての特性解説がなされていました。
インターネット、SNSが登場したいまの環境においても、それぞれのマスメディアが持つ機能や役割は変わらないのでしょうか。インターネットがマスメディアの役割を代替するといった悲観論ではなく、インターネットが浸透したからこそ、生まれる既存メディアの新しい機能や役割があるのではないでしょうか。今号では、「新しいメディアの教科書」をテーマに、現在の環境における「主要メディアの役割」を各界の有識者が再定義。さらに広告実務の現場で、いま「メディア」というものがどのように理解され、活用されているのか、事例も交えながら解説していきます。