『瞬間消費』時代の「広告」と「販促」
マーケティング・コミュニケーション活動においては、長らく認知獲得を目的とする「広告」と購買の最後の一押しをする「販売促進」の役割分担がなされてきました。しかしスマホとSNSの浸透により、商品を「知る」タイミングで瞬間的に「購入」が発生するケースも生まれています。それでは認知から購買までがシームレスに起きる、『瞬間』的な消費行動が浸透している時代、「広告」と「販促」はどのような役割分担にあるべきなのでしょうか。「広告」と「販促」あるいは「宣伝部」と「販促部」を分けて考える必然性はあるのでしょうか。『瞬間』的に消費が起きる時代、さらには小売店を介して商品を販売するBtoBtoCモデルのメーカーであっても、顧客とダイレクトにつながることができる現代。改めて「広告」と「販促」それぞれの役割の定義を考えます。
国内主要企業38社 2022年度の戦略と方針
不確実性の高まった社会環境のなかで、生活者の心は揺れ動き、マーケティング・コミュニケーション活動の難しさが増していました。しかし、そんな生活者の気持ちに企業の最前線で接してきた広告・マーケティング部門のトップの皆さんは、これまでの経験を生かし、コロナ禍の先を見据えた新しいコミュニケーションの在り方をすでに見つけ始めています。生活者のブランドに対する期待も変わりつつあると言われるなか、いま日本を代表する企業でマーケティング・コミュニケーション活動を担うトップの方たちは、どのような戦略を描いているのでしょうか。38社の戦略から、成熟化した日本市場におけるブランドと生活者の関係性を考察します。
これからの「ブランド成長の定義」
いまだ収束しないコロナ禍、さらに緊迫化する世界情勢―。カーボンニュートラルをはじめとする持続可能な世界に向け企業の取り組みが加速しはじめていたにもかかわらず、現実はまだかつての拡大第一の企業活動から抜け出せずにいるようにも見えます。売上拡大につながる価値を生み出すのは、マーケティング部門の役割。だからこそ、企業の成長を考える際、マーケターの役割は大きいものです。しかし、今の世界において常に「昨年以上の売上拡大」による、事業貢献が現実的と言えるのでしょうか。大量生産、大量消費社会とは異なる価値観も必要と言われる時代の中で、改めて「企業の成長」という言葉の定義を見直す必要があるのではないか。この仮説のもと本特集では、4つのテーマ別にアカデミズムと実務の視点から"これからの成長"を考えました。
メタバースとマーケティング
デジタル化の進展により、企業と消費者の間の接点は拡大を続けてきました。では昨今、世界的に注目される「メタバース」は、従来のオンライン上の顧客接点のひとつとして捉えるべきものなのでしょうか。それとも、これまでとは違う価値や活用法が見出せるものなのでしょうか。もうひとつの世界において、企業は生活者にどのような価値を提供し、コミュニケーション接点としてだけでなく、新たなビジネスをも創造していけるのでしょうか。国内の最先端の事例を通じて、考察していきます。
パーパスとブランド体験
デジタル化の進展により企業と生活者の接点は格段に増えました。さらに多様化した接点における体験の総和、ブランド価値に影響する時代となっています。この環境下で選ばれるブランドになるための「体験」づくりを担うマーケティングが関わる領域は、決して"モノを売る"ことだけにとどまりません。昨今は「パーパス」を設定する企業が増えていますが、全社員が向かうべきベクトルを指し示し、さらにあらゆる部門の社員がそれを実践できるための働きかけまで行わなければ、最終的なブランド体験の質を高めることは難しくなっています。マーケターは、この経営課題とも言えるテーマに対して、どのようにその力を発揮することができるのでしょうか。
「安さ」追求はどこまで必要? 今こそ、見直す「価格戦略」
マーケティングの4Pのひとつである「価格」ですが、短期的にはコロナ禍での節約志向、長期的に見ても日本人の平均所得の低下などが影響を与える、消費者側の「購買力」という観点から見た際、現在の日本市場だからこその新たな戦略が必要とされていると思います。単に企業努力で「低価格」の実現を目指すだけでない、「適正な価格」とはどう考えればいいのか。専門家、実務家の皆さんと考えます。
2022年の消費者インサイト予測
少し明るい兆しが見える中で迎えた2022年。行動の自由が大きく制限された2021年は、一人ひとりが自分の生活にとって真に必要なものは何なのか。惰性ではなく、意志をもった行動のなかで、それに気づく機会にもなりました。コロナ禍の真っただ中にある時から、Afterコロナの生活者についての考察は数多く出ていましたが、国内においては日常が戻ってくる兆しも見えてきました。それではコロナ禍において私たちの意識や行動に起きた変化は、再びかつての日常が戻ってきたときに、消えていくものなのでしょうか。それとも、不可逆の変化としてこれからも定着していくものなのでしょうか。特集では最前線で活躍するマーケターの実務家の皆さんと共に、新しい日常における2022年の生活者インサイトの予測をもとに、どのような市場が創造しうる可能性があるのかを考察。2022年の生活者インサイトと新市場をキーワードとともに解説します。
「経験エコノミー」における製造業の課題と考え方
モノの価値に加えて「経験価値」が重視されるようになって久しい現代。顧客とのデジタルの接点を介して得られるデータにより、多くのインフラを持たずに魅力的な体験の提供に注力し、世界的な成長を遂げたUber やAirbnbなどの企業。これらの企業が起こしたデジタル・ディスラプションは既存産業、特にメーカーに大きな衝撃を与えました。図らずも、コロナ禍において顧客接点のデジタルシフトが加速し、リアルもデジタルも含めた一貫したブランド体験の提供が求められるようになった現在、顧客の視点に立った体験・経験の価値から、改めてマーケティング戦略や企業戦略を見直す必要が生まれています。技術オリエンテッド、プロダクトアウト思考が強いと言われてきた日本の製造業は、いかにして変革を遂げるべきなのか?いま踏み出すべき、変革の一歩を実務者、研究者と共に考えます。
各分野のプロが考える 伝わる「言葉」の本質
広告がその目的を達するためには、そこにある言葉がまず対象者にしっかりと「伝わる」ことが大切です。しかし、情報過多の現在において、伝える意思があるにもかかわらず、伝わらないままに終わってしまう言葉も増えてきています。加えて価値観が多様化した現代、ときにその違いが人と人との間に分断を生み出してしまうことすらあります。同じ言葉を使っていても、その言葉を受け取る側と同じ文脈を共有していなければ、伝わらないばかりか、摩擦を生んでしまうことにもなりかねない。広告の言葉も同様で、大きな力と同時にリスクもはらんでいるのが現在の状況です。本特集では、広告業界だけでなく多様な領域で、伝わる言葉の哲学をもって仕事に取り組む方々に取材。価値観多様時代の言葉の在り方、使い方を考えていきます。
対象顧客に共感される 企業・商品の広め方
当然のことながら企業・商品それぞれのブランド別に、対象となる「顧客」がいます。その「顧客規模」が50億人のブランドもあれば、500人のブランドもあります。消費者の嗜好性の細分化に合わせて、ブランドごとのセグメントがより緻密になる中で、国内市場におけるマーケティングでは、必ずしも「国民的知名度」が必須とはいえません。本特集では、顧客規模に合った「広告」以外の認知獲得の成功ケースを紹介します。
業界別マーケティング課題 最先端の解決事例
個々のブランド別に抱えるマーケティング課題はあるものの、ある商品カテゴリーに共通する課題も存在します。そして競合他社も同様に悩んでいる課題に対して、いち早く解決のアイデアを実行できたブランドが、市場において勝者となりえます。今回は特にブランド数も多い市場であり、また共通の課題感が明確な「食品」、「飲料」、「化粧品」、「アパレル」、「飲食店」に絞って、課題を解決するマーケターの最新アイデアと事例を紹介します。
現代における「顧客理解」方法と実践
これまでリアルな場を使って実施できていた消費者調査。しかし、コロナ禍のいま、消費者に直接アプローチすることは難しくなっています。消費者の気持ちや行動にも、大きな変化が生まれている現在、このような環境下でいかにして、顧客理解を深めていけばいいのか。企業の新たな試みや、各分野におけるトップランナーの考えを聞きながら、現代の環境における顧客理解の基本から応用までを考えていきます。
「不安」と消費者 生活、健康、将来の不安に寄り添う
各種調査を見ると、コロナ禍において人々の不安意識は高い水準で留まったまま。また、コロナ禍だけでなく健康や生活など人生100年時代と言われる今、消費者の不安の種は尽きません。不安だから節約する、不安だから逆に未来のために学ぶ...。不安という心理を読み解くと、消費行動の背景も見えてきます。特集では国内外の調査レポートからその推移を振り返り、生活者の不安に寄り添う企業の取り組みを伝えます。
ネット世論と広告炎上
SNSが浸透したことで、生活者がその時々に感じた気持ちを発信することが可能になりました。しかし、その率直な気持ちが、ときに広告に対する批判、そしてネット上での炎上につながるケースも多く見られます。社会全体が多様な価値観を内包しようと進むなか、その動きを分断するような広告表現は許容されないでしょう。その一方で企業も社会において、ひとつの「人格」を持った存在として活動する以上、その「企業人格」が発信する考えに対して、反対の意見を持つ人が出てくるのは当然のことと言えます。賛否両論の意見が起きると「炎上広告」とひとくくりで話題にされがちですが、いま企業が耳を傾けるべき生活者、顧客の声を見極める必要が生まれているのではないか。そうした仮説のもと、ネット言論と広告炎上について考えます。
広告プランニングの新・潮流 「新・メディアの教科書」
「ペイドメディア」だけでなく、「アーンドメディア」に「オウンドメディア」と、「トリプルメディア」すべてを活用したマーケティング・コミュニケーション活動の必要性が叫ばれるようになってから数年が経ちました。その後、生活者の情報収集接点はさらに種類も多様化し、メディアプランニングはますます難易度を増しています。従来のペイドメディアを中心としたメディア特性による分類では太刀打ちできず、生活者視点に立った適切な接点づくりを考える必要性が生まれていると言えるでしょう。それぞれのメディアの世界別に慣習やルール、専門用語もある中で、マーケティング担当者はどのような視座でメディアを選び、また活用すればよいのか。現代社会においてメディアと情報伝播の流れを俯瞰的に踏まえながら、個々のメディア別の活用法を考えていきます。
ランキングに惑わされない!独自路線のブランド戦略
毎年、企業のブランド力や自治体の魅力など、様々なランキングが発表されます。ブランドが置かれている状況を把握する上で、これらのランキングは有用なものです。一方で、こうした指標には他者が設定した項目にもとづく評価であるという側面もあります。ブランド戦略においては、他者がつくった指標に惑わされず、オリジナリティを貫くことも大切。現時点の市場においては「弱み」と思われることであっても、その「弱み」に独自性があるのであれば、それを「強み」として生かすブランド戦略もありうるのではないでしょうか。他者のものさしに縛られず、自らが1番になれる新しい「土俵」をつくる。固定観念にとらわれることなく独自の路線で発信することで、顧客に新たな選択肢を提供する事例、考え方を紹介します。