3月に発売された、若手デザイナーと敏腕コピーライターのコンビの奮闘を描くお仕事ロマン小説『広告の会社、作りました』(ポプラ社)。著者である中村航氏は、なぜ広告産業を舞台に選んだのか。

中村 航(なかむら・こう)さん
小説家。2002年『リレキショ』にて第39回文藝賞を受賞しデビュー。続く『夏休み』、『ぐるぐるまわるすべり台』は芥川賞候補となる。ベストセラーとなった『100回泣くこと』ほか、『デビクロくんの恋と魔法』、『トリガール!』等、映像化作品多数。アプリゲームがユーザー数全世界2000万人を突破したメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』のストーリー原案・作詞等幅広く手掛けており、若者への影響力も大きい。
勤めていた会社が急に倒産?!新米デザイナーのお仕事小説
「いい仕事、いい会社ってなんだろう?」。今年3月にポプラ社より発売された『広告の会社、作りました』は、若手デザイナーと敏腕コピーライターがコンビを組み、大手企業に挑む“青春×お仕事=波乱万丈バディ”小説。
主人公である若手デザイナー、遠山健一は、入社1年3カ月を迎えたある日、所属していた広告制作会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまう。安定した再就職先を探していた健一だが、新たに出合った職場はコピーライター・天津功明の個人事務所。法人化していないフリーランスだった。
天津とコンビを組むことになった健一。しかし、2人が挑むことになった仕事は、住宅会社のカタログデザインをかけた、大手広告会社との“出来レース”のコンペ。健一と天津は奇跡の逆転を起こすことができるのか?2人の姿を通して、「働くこととは?一緒に働く“いい相棒”とは?」が描かれていく。
本書の著者は、『100回泣くこと』、『デビクロくんの恋と魔法』、『トリガール!』など多くの作品を生み出してきた中村航氏。『広告の会社、作りました』は、中村氏にとって、いわゆる初の“お仕事小説”作品となる。お仕事小説に挑むにあたり、「起業」と「広告会社」の2つのテーマを描きたかったと中村氏。
「『起業』というテーマに関しては、私自身が会社を立ち上げた際に感じた面白さを書きたいと思ったことがきっかけです。働き方改革やコロナ禍により、現在は、多様な働き方が生まれています。では、実際にいま働いている会社を辞めたらどうなるのか?そんなことを考えている人も多いのではないかと思い、私が経験した面白さをありのままに書いてみたいと思いました」と話す。

2021年3月に発刊された『広告の会社、作りました』(ポプラ社)。「いい仕事、いい会社ってなんだろう?」をテーマに、若手デザイナーとコピーライターのコンビが大会社に挑むストーリー。
「伝える」ことに多くを費やす 広告・クリエイティブの価値
「お仕事小説」の舞台に「広告会社」を選んだのはなぜなのか?「実は昔からの友人に、独立して広告会社を立ち上げた人がいて。以前から身近な存在でした。仕事に関する話を聞くことも多いのですが、彼も小説に...