複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
福島大学は2026年9月1日、公式サイトに「本学を取り上げたインターネット動画について」と題する佐野孝治学長名の声明を掲載しました。発端は、学歴をテーマとするYouTubeチャンネル「wakatte.TV」が8月28日に公開した動画です。放射能に関する研究を「福島ならでは」と語った学生に対し、出演者が「福島大には触らせたくない」と話す場面があり、これがSNSで拡散しました。
出演者は声明が発表された当日にXで謝罪し、動画を削除しましたが、影響は拡がり続けました。福島市の馬場雄基市長といわき市の内田広之市長がXで言及し、9月4日には松本洋平文部科学大臣が記者会見で、大学の研究力を偏差値で判断するのは適切ではないと述べています。5日には出演者が謝罪動画を公開しました。
一連の経緯は、企業がSNSで批判されたときにどこまで反応すべきかを考えるうえで参考になります。
組織の根幹となるものが傷つけられた
SNSに書かれることの大半は、「相手にしない」という判断で足ります。個々の書き込みに答えれば、答えたこと自体が新しい話題を生むからです。
もっとも、例外があります。組織の根幹となるものが傷つけられたときは、「動かない」という判断のほうが不自然です。2023年に回転寿司チェーンのスシローで卓上の醤油...


