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あらすじ
*この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
不正競争防止法違反の疑いで東京地検特捜部の家宅捜素が入った瑞原電機産業。広報の高瀬恒二は社長の瑞原邦彦を説得し、記者たちが納得するまで1時間半に及ぶ記者会見を開いた。それから3週間後特捜の小宮 修吾から高瀬に連絡が入った。高瀬は、小宮から「瑞原電機産業を起訴する」と告げられる。
戦うのではなく、積み上げる
夜。誰もいないフロアで一人、高瀬恒二は社長の瑞原邦彦が出席した記者会見の映像を再生していた。いよいよ裁判が始まる。法廷はもちろん、世論からの審判も受けることになる。高瀬は盛大にため息を吐いた。
東京地検特捜部。机の上には、整然と積まれた証拠書類があった。メールの写し、サーバーログ、押収したUSBメモリ。小宮修吾がページをめくる。《有馬の制御ロジックを持参できれば理想的だ≫瑞原電機産業開発部長からの送信メール。宛先は松井裕斗。CCには担当役員が付けられていた。命令ではない。だが、誘導ではある。
小宮はペンを置く。特捜は負けない。だから疑いが固まるまでは表に出ない。しかし、つねに確信に満ちているわけではない。法廷は白黒を求めるが、現実は灰色だ。
松井は取り調べで言った。「会社が自分に期待しているのは分かっていました。だから、なんとしても応えたかった」それは自発的な行動だったのか、それとも同業他社である有精機からの転職に対する期待を示す圧力だったのか。状況が示すのは後者だが、決定的な証拠はまだ揃っていない。
企業犯罪の多くは、命令よりも空気で動く傾向が強い。言わずもがなだが、小宮はその構造を熟知している。しかし、空気は法で裁けない。裁かれるのは行為であり、行為を裏付ける証拠であり文書だった。その証拠は揃いつつある。
起訴の可否を巡る検察内部の協議が行われた。「組織的関与まで踏み込むか」上席の検事が静かに問う。「メールはあります。しかし社長の関与を示す直接的な証拠はありません」小宮も静かに答える。「法人責任は問えます」別の検事が状況を伝える。代表者の刑事責任は?」上席の検事が、責任の所在がまだ中途半端だと暗に返してくる。
社長が知らなかった可能性は高い。だがそれ自体、管理監督責任の不備を示すことになる。法は"冷たい"。しかし、恣意的であってはならない。これまで検察側による証拠の捏造や偽造、脅迫的取り調べが罪のない人間の人生を奪い取ってしまったことがあった。ごく一部の検察官の蛮行・愚行によ...


