複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
読売巨人軍 逮捕を受け監督が辞任
プロ野球読売巨人軍は2026年5月26日、阿部慎之助監督が前日に長女への暴行容疑で現行犯逮捕されたことを受け、同氏の辞任を発表しました。現役監督がシーズン中に逮捕され、その翌日に辞任へ至るのは前例のない事態です。
野球の話としてワイドショー的に受け取られがちなケースですが、広報担当者は、自社の組織に置き換えて考えてみてください。監督は現場を率いる最高責任者です。一般企業でいえば、営業担当の執行役員や営業部長が逮捕されたようなものだと考えると、球団の対応は危機管理広報の教材になります。
球団の価値判断を示した
評価できるのは、逮捕が報じられた当日の初動です。球団はただちに、国松徹代表取締役社長の名前でコメントを出しました。「暴力は許されないこと」として深刻に受け止め、ファンや関係者に謝罪し、阿部監督については進退を含めて処分を検討する、という内容です。
事実関係の全容が固まる前でも、「暴力を許さない」という球団の価値判断を最初に示した姿勢は、初動として見習うことができます。
近年、企業がトップの不祥事で声明を出すとき、違法かどうかではなく、自社の企業理念や行動指針に照らして説明する例が増えています。
サントリーホールディングスでは2025年9月、新浪剛史...


