複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
2026年7月28日、熊本県で最大震度7を観測する地震が発生し、企業の施設でも重大な事故が相次ぎました。
同じ地震を契機に起きた事故でも、その後の発信のありようは会社ごとに分かれました。危機管理広報の観点からこの差を見ると、業種や会社の規模を問わず学べる点があります。
何を語らないかの判断も重要
イオンモール熊本では、地震の約1時間20分後に2階で爆発が起きました。来店客約3000人と従業員らは約30分で屋外へ避難しましたが、その後に館内へ戻った人がおり、テナント従業員7人が亡くなりました。
事故翌日の7月29日、熊本市内でイオンの吉田昭夫社長とイオンモールの大野恵司社長らが会見を開きました。爆発の原因については、ガス爆発の可能性が高いとしつつ、消防の正式な見解が出ておらず確定できないと説明しました。
記者から見れば物足りない回答です。それでもSNSでは、会見を評価する声が少なくありませんでした。確認できている事実と確認できていない事実を、会社側が分けて明らかにしたからです。
またイオンの会見では、経営への影響をその時点では語らなかったことにも注目すべきです。休業の期間や復旧費用を問われても、「大変申し訳ございませんが、そういったことを今考える(ことはできない)」と答えたのです。複数の人が亡...


