ハイキングするように本に出会う仕掛けで 読書文化を次世代につなげる店へ

公開日:2026年5月08日

  • 三省堂書店 神田神保町本店

2026.03.19 Open 三省堂書店神田神保町本店

4年間の空白時期を経て、三省堂書店神田神保町本店が新たなスタートを切った。小規模書店の閉店が相次ぐなか、大型書店の本丸として選択したのは、テナント料による収益の地固めとリアル書店ならではの本との出会いの偶然性の強化だ。店内の回遊をハイキングに例え、山脈のようにそびえ立つ本棚で物量を強調し、デジタルでは見えない知の領域の広大さを認知させるような店づくり。著者との対面イベントスペースを常設するなど、本好きの世界をさらに拡張する仕掛けをちりばめた。

靖国通りに面した正面入口から入ると、中央の平台を起点に、左右へ段々状に書棚が広がる。ラックに差すのではなく、1冊ずつ表紙を見せて並べるほか、隠れがちな表紙下部まで見えるようにするなど工夫を凝らした。物販ブランド「OASISEND」の商品も、あえて独立したコーナーは設けず、1階中央の新刊平台「はじまりの島」の間に並べ、偶発的な出会いを誘う。会計は有人レジに加え、セルフレジも導入。三省堂書店の名物でもある書店員の手書きPOPは、この店舗でも順次実施していく。

エンターテインメントの多様化や電子書籍の普及を背景に、書店の閉店は加速し続けている。書店を持たない自治体は全国の約3割に迫り、街から「本を買える場所」が静かに消えつつある。

しかし、都心の大型複合施設では逆の流れが起きている。麻布台ヒルズへの大垣書店(京都)の出店をはじめ、虎ノ門ヒルズには丸善ジュンク堂書店の新業態「magma books」、高輪ゲートウェイシティのNEWoMan高輪には出版取次・日本出版販売の事業ブランド「ひらく」が展開する「BUNKITSU TOKYO」と、広大な空間を惜しみなく使った書店が相次いで誕生している。本はネットで買え、デジタルならばその場ですぐに読み始められる時代に...

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