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カンヌライオンズから分析 世界の広告 手法と切り口

「Hackvertising」を実行する5つのステップ

今年一番人気を博したバーガーキングのセミナーは、Hack(ハッキング)とadvertising(広告)を組み合わせた「Hackvertising」がテーマ。成功する広告は、ハッカーたちが駆使するテクニックと似たパターンを持っているという仮説を元に、バーガーキングのCMOとマイアミに拠点を置くエージェンシーDAVIDのCDによる講演が行われた。

Hack+Advertising=Hackvertising

フェルナンド:「ハック」と聞いて、リスキーな手法だと思う人は多いと思います。私たちはよく「バーガーキングは怖いもの知らずだね、何も恐れていないよ」と言われます。だが、とんでもない。我々だって常に恐れています。そういう人たちとの違いは、それでもやるかどうか。そこがカギです。ハッカーと一言で言っても、正しいことをするハッカーから、面白半分で他人のシステムを勝手にハックするハッカー、世間を騒がせる大事件を起こすハッカーまで色々です。

ジュアン:これらのハッカーと広告とはどのような共通点があるのか。私たちは多大な時間をかけ、ハッカーの世界を調査しました。彼らが何をハックし、そのためにどんなステップを踏み、どんなフレームワークを使うのかを知ることで、広告に生かすためです。その結果、我々アドパーソンにとって有用な5つのステップを見出しました。それを今日はお披露目しましょう。

ステップ1:ハックする話題を見つける

リカルド:ハッカーたちがまずすること。それは、システムをモニタリングしその仕組みを解明することです。一方私たちも、SNSを一日中閲覧して、今盛り上がっている話題を見つけます。よく見るのは「Imgur」や「4chan」です。人々の本音や今起きていることをいち早く知ることができます。

ひとつの例を紹介しましょう。「Trendsmap.com」で見つけたトレンドを使いました。米国でスターウォーズが公開されたばかりの昨年の12月、人々が話題にしていたのはスターウォーズ…ではなくて、「インターネットの中立性」についてでした。一体何のことなのか?本気で理解するには2時間ばかりかかりました。とても難しい。調査もしましたが、わかったのは、この話題について誰も理解していない、ということでした。

そこで私たちは、インターネットの中立性が損なわれるとはどういうことかを、ワッパーという商品をわざとゆっくり提供することで説明しようとしました(01)。ただ、フェルナンドには反対されました。彼は「そんなことを知りたい人はいない」と言いました。でも、他の人に説明したら、「フェルナンド、それはやった方がいい」と言ってくれたので。

01 インターネットの中立性を撤廃したらどうなるか?をワッパーの提供に例えて説明した「Whopper Neutrality」。

フェルナンド:君たちが、こんな説明がややこしい仕事を考えるからだ。

リカルド:でしょうね。でも、バーガーキングのために考えたことですから。フェルナンド以外の人はわかってくれました。

フェルナンド:他の人たちは、君たちに本当のことが言えなかっただけだと思うよ。

リカルド:そんなわけで、僕たちはフェルナンドに「僕たちを信じてくれ」と言い続けました。そして彼はやってくれました。「ここに予算がある。僕が間違っていることを証明できるならしてみせろ」と最後まで信じてくれませんでしたけど…。このキャンペーンは大きな反響を呼び、僕たちはホワイトハウスにも呼び出され、最終的には、上院で投票が行われ撤廃を覆す議案が可決されました。私たちにとっても驚きの結果となりました。

フェルナンド:それじゃ次に、私の一番好きな事例に行きましょう。2017年のハロウィン直前に『IT』(邦題:『IT/イット"それ"が見えたら、終わり。』)という映画が公開され、恐ろしいピエロが話題になりました。ピエロは最大のライバル、マクドナルドのキャラクターです。予告編がYouTubeで過去最高視聴数を記録するほど注目されていたので、今がチャンス!と思って、映画の最後にバーガーキングのロゴと共に「ピエロを信じるな」とメッセージを出しました(02)

02 恐ろしいピエロが登場するホラー映画『IT』のプレミア上映後に、「ピエロを信じるな」とメッセージを映し出して"オチ"をつけた「Loving "It"」。

だって、面白いから。広告の仕事って、そういうものでしょう?この広告はプレミア試写会で実施され、数々のメディアでトップの見出しを飾りました。ハッキングで言うところの「フィッシング」に近いやり方です。もちろんあらゆる人に好かれるキャンペーンではないので、裁判沙汰になってしまったわけですが。人と違うことをしようとしたら、リスクはつきものです …

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カンヌライオンズから分析 世界の広告 手法と切り口

世界最大級の広告賞であるカンヌライオンズでは、毎年、最先端の手法を使った広告や、社会課題に取り組むための新たな切り口、大きな成果を上げたコミュニケーションなどが表彰され、最新のケーススタディとして共有される。セミナーではマーケティングの潮流や広告の課題が語られ、世界の広告界が向かう方向性を大局的に把握する機会となる。日本では「世界と日本では環境が違う」と考える人も少なくないが、カンヌが事例や企画の宝庫であることは間違いない。今年の特集では、カンヌへの参加経験が豊富なクリエイターの協力を得て、受賞作を手法・切り口別に分析。仕事に生かすためのポイントを話してもらった。

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