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カンヌライオンズから分析 世界の広告 手法と切り口

カンヌ受賞作を分析して見つけた10の手法・切り口 2/5

カンヌをはじめ海外広告賞を自分の企画に生かしている人は、どのように分析・解釈を行っているのか。カンヌにこれまで複数回参加している、電通 嶋野裕介さん、ワントゥーテンデザイン 小川丈人さんTBWA\HAKUHODO 細田高広さんの3人にそれぞれの分析を持ち寄り、話してもらった。

カンヌ受賞作から分析 10の手法・切り口
01.Smart Hacking(Platform Hacking)
02.UnStereotype
03.Redesign Government
04.Branded Social Good
05.Soundize
06.Logomunication
07.Realtime Response
08.Supportership
09.Social Activation Film
10.Mass Mattering

行政に代わってブランドが公共サービスを担う未来が来る?

    03.Redesign Government

    行政(書類・手続き・シンボル)をリデザインすることによって、人の行動を変え、そのものの価値や意味を変えていく試み。

    パラオ共和国「Palau Pledge」



    入国手続きをリデザインする
    パラオを訪れる旅行者のパスポートに押すスタンプを、「Palau Pledge(パラオ誓約)」と呼ばれる誓約文に変更。旅行者自身に署名させ、パラオの自然を守る仕組みを作った。

    今世界のデザインのオピニオンリーダーたちが最も注目しているのがこの領域。行政書類には社会制度の問題が集約されており、そのリデザインに切り込んでいくことは広告でもホットトピックになるかもしれません。

    Plastic Oceans財団/LADbible「Trash Isles」



    国連の規則を逆手に取った
    太平洋のゴミ溜まりを、国連に新しい国として申請。国連で定められた規則を逆手に取り、他国に「ゴミ諸島」を掃除する義務を生じさせようとした。

細田:続けて挙げたのが《Redesign Government》。カンヌではデザイン部門の改革が数年前から進んでいます。美しさや繊細さの評価はクラフト部門に任せて、デザイン部門は意味や価値のデザイン、ビジネスに結果をもたらすデザインを追求しているのです。その流れの延長で政府(Government)にこそ、もっとデザインが必要だ、とカンヌで議論がなされていました。行政サービスの99%をオンライン化して注目を集めているエストニアの事例のように、旧態依然とした行政サービスには、デザインが価値をつくる余地がたくさん残されているじゃないかと。

また、世の中の社会的な制度の問題は、だいたい書類の問題として表出します。婚姻届しかり、戸籍しかり、書類には時代と制度のズレが顕在化しますよね。「Palau Pledge」は入国手続きに新たな意味をもたらすリデザインと言えますし、「Trash Isles」はゼロから価値を生み出すという、デザイン部門が目指す方向そのものと感じます。

嶋野:カンヌ現地では、「Palau Pledge」と「Trash Isles」派に分かれていましたね。どちらがグランプリを多く獲るかと話されていました。

小川:僕は「Palau Pledge」派だったんですが、その理由は、入国スタンプも看板も、どの制作物も"元々必要なツール"であるということです。それらに一本軸が通ることで強力な相乗効果を発揮しだす点が素晴らしいなと思います …

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カンヌライオンズから分析 世界の広告 手法と切り口

世界最大級の広告賞であるカンヌライオンズでは、毎年、最先端の手法を使った広告や、社会課題に取り組むための新たな切り口、大きな成果を上げたコミュニケーションなどが表彰され、最新のケーススタディとして共有される。セミナーではマーケティングの潮流や広告の課題が語られ、世界の広告界が向かう方向性を大局的に把握する機会となる。日本では「世界と日本では環境が違う」と考える人も少なくないが、カンヌが事例や企画の宝庫であることは間違いない。今年の特集では、カンヌへの参加経験が豊富なクリエイターの協力を得て、受賞作を手法・切り口別に分析。仕事に生かすためのポイントを話してもらった。

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