さまざまな企業や商品のブランディングを手がけるgood design companyの水野学さん。デザインするものもパッケージから、電車の車両やキャラクターまでと幅広い。あらゆるデザインに携わる水野さんの企画書・プレゼン術とは。

クリエイティブディレクター/クリエイティブコンサルタント/good design company 代表
水野 学(みずの・まなぶ)
1998年good design company設立。ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。著作に『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』ほか。初の作品集『アイデア特別編集 good design company 1998-2018』を刊行。
プレゼンで発表するのはデザインの"答え"
──本日は水野さんの企画書やプレゼンについてお話を伺えればと思います。
まず、僕らはデザインには誰がやってもたどり着く「答え」があると考えています。なので、企画書には「答え」に至るまでの道すじを書き綴っているし、プレゼンも導き出した「答え」に沿って説明している感覚なんです。ここで言う「答え」とは、きちんとブランドについて調べていけば、この選択になるはずという意味です。色や柄も無数にある選択肢の中から最適なものを選んでいて、必ず理由があります。
例えば、相鉄グループのブランディングで制服をデザインした時、僕たちが提案したネクタイの柄は無地でした。しかし、クライアント社内では「水玉がいい」「レジメンタルがいい」など異なる意見も出ました。でも、ブランドのコンセプトを「安全×安心×エレガント」に決めていたので、かわいらしい水玉はそぐわない。一方で、レジメンタルも起源を調べていくと、イギリス式やアメリカ式など地域性があることを知り、どちらも相鉄らしくない、とそれぞれに説明しました。

水野さんが手がけた相鉄グループの制服
──こうした「答え」にたどり着くまでのプロセスについて教えてください。
依頼を受けて企画書を作るまでは、下の図のような流れになります。
ここでは最近手がけた中川政七商店グループの道艸舎が立ち上げた新ブランド「茶論」の仕事に当てはめてお話しします …