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SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会

SDGsの達成へ「行動の10年」クリエイターに期待すること

  • 根本かおる(国連広報センター所長)

2020年、国連はコロナ関連のメッセージを発信するため、世界中のクリエイターからイラストや動画、写真を募集。募集開始から2カ月余りで、日本を含む140超の国から1万6000以上の作品が集まった。2030年のSDGs達成に向けて、クリエイターに期待することとは。

2020年9月に国連が公開したドキュメンタリー映像「NATIONS UNITED ともにこの危機に立ち向かう」(制作総指揮:リチャード・カーティス)。「気候と地球」「貧困と不平等」「正義と人権」「ジェンダー平等」という4つのテーマを扱う。YouTubeで字幕版も公開中。ビヨンセ、バーナ・ボーイらアーティストのほか、人権活動家のマララ・ユスフザイさんも出演。
©United Nations, Project Everyone, and 72 Films

混迷する世界が目指すべき羅針盤に

2019年秋、国連では初めて首脳レベルでSDGsの状況を点検する「SDGサミット」を開催しました。その結果、「2030年の目標達成の目途が立っていない」という認識が共有され、2020年からの10年を「行動の10年」と位置づけてアクセルを踏み込んでいくことに。こうして2020年は「行動の10年」の初年度となったわけですが、想定外のパンデミックに見舞われたことで貧困・格差や保健システムの逼迫、環境破壊など、これまで積み重なってきた社会の歪みを顕在化させる事態を招いています。

SDGsは「誰一人取り残さない」という目標を掲げていますが、パンデミックにより達成への動きがますます遅れてしまうのではという見方もありました。ところがこの1年の状況を見ていると、「SDGsへの関心度が高まることはあっても、低くなることはまったくない」と実感しています。混迷が続く状況だからこそ、SDGsは世界が目指すべき方向を示す羅針盤になっています。

気候変動対策は脅威?好機?

サステナビリティの推進をうたう企業の動きを見ていると、SDGsの個別の目標に対して自分たちの活動を紐づけることが目的になって、そこで止まっているケースが目立ちます。ところが本来、SDGsが目指すのは「17の目標のもと世界を大転換しましょう」という大きな枠組み。個別のゴールに紐づけてその単純な延長で何をしようか、という視点には違和感があります。企業と協働するクリエイターの方々には大局的な視点を持って、持続可能な社会に向けた大胆な提案をお願いしたいと思います。

SDGsがカバーしている領域は多岐にわたっており、非常に複雑です。専門的な知識や情報を持っていない人々でも理解ができて、日々の取り組みや行動を変えていけるようなポジティブなコミュニケーションが必要だと思います。一方、人々の社会問題に対するインサイトを的確にとらえたうえで、行動をデザインすることも重要です。インサイトは国や文化といった背景によってずいぶん異なるからです。

たとえば「気候変動対策」について「生活の質を脅かすもの」と考えるか、「生活の質を豊かにするもの」と考えるか。国によって見方が異なることがわかっています。2015年にWorld Wide Viewsが実施した調査によると、日本人は60%が「気候変動対策=脅威」ととらえており、世界平均の27%に比べ非常に高い割合です。

逆に「豊かな社会を構築する好機」ととらえている人は、日本では...

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SDGsの達成へ クリエイターが考える持続可能な社会

2030年をゴールとし、国連が推進しているSDGs(持続可能な開発目標/Sustainable Development Goals)。2020年にはSDGs達成のための「行動の10年(Decadeof Action)」がスタートし、企業は規模を問わず行動、実践のフェーズへと移行しつつあります。2021年、企業の課題解決に取り組むクリエイターにとっても無視できないトピックであるといえるでしょう。そこで本特集では、クリエイティブ、デザインの視点からサステナブル(持続可能)な価値を提案している事例を取材。SDGsの基本原則である「誰一人取り残さない世界の実現」に向けて、クリエイターが今、取り組むべきこととは。

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