レストランオープンからミシュラン史上最短で三つ星を獲得したレストラン「HAJIME」。そのオーナーシェフであり、既存の料理の枠にとらわれず、独自の世界観で料理を生み出し続ける米田肇氏に話を聞いた。

米田肇(よねだ・はじめ)さん
1972年、大阪府生まれ。高校では数学に没頭、大学では電子工学を学ぶ。電子部品メーカーに就職した後、1998年、料理人に転身。日本、フランスのレストランで仕事をし、2008年“本当に素晴らしいレストラン”をつくることをテーマに「Hajime RESTAURANT GASTRONOMIQUE OSAKA JAPON」を開店。ミシュラン史上世界最短の1年5ヶ月で三つ星を獲得。2012年、さらなる飛躍と革新を提案するために、店名を「HAJIME」に改め、現在に至る。
コロナ禍の飲食店を救済 署名活動で18万人が動く
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請の影響で、飲食店が運営資金をまかなえず、閉店の危機に直面している。
このような飲食業界の危機を回避すべく行動している一人が、オープンからミシュラン史上最短で三つ星を獲得したレストラン「HAJIME」のオーナーシェフ・米田肇氏である。
米田氏は、3月29日から政府に飲食店の固定費と雇用者の給与の補助求める署名活動を開始。飲食業界の現状を伝えるべく、メディアにも積極的に声をかけ、情報を拡散。署名活動を終了した6月12日には、計18万5445人の署名が集まった。
米田氏自身も政府との幾度とない交渉を重ね、当初の目標だった家賃補償、給与補償が実現した。米田氏が精力的に情報を発信していたFacebook上には、その活動に対して、感謝の声が多く見られた。

米田氏がオーナーシェフを務めるレストラン「HAJIME」。コロナ禍では、4月8日〜5月20日まで休業していた。
ブランドは“球体”誰が見ても同じに見えるように
大学では電子工学を学び、システムエンジニアの経験も持つ米田氏は、料理人としては異色の経歴の持ち主。ガストロノミー(食事・料理と文化の関係を考察すること)をベースに独自の料理や食体験を追求し、調理は0.1℃、1mm単位まで計算し尽くされていることで知られる。
米田氏は1998年に料理人に転身し、2008年には「本当に素晴らしいレストランを造る」をテーマに掲げ、フランス料理店「Hajime RESTAURANT GASTRONOMIQUE OSAKA JAPON」を大阪市にオープン。
2012年には、フランス料理店という看板を下げ、ジャンルにとらわれない自分たちが発想する料理を生み出すため、店名を「HAJIME」に改称した。米田氏が料理人として異色なのは経歴だけではない...