ファッションを中心とした新しいライフスタイルの発信源である、フランス・パリ。パリに駐在する日本人マーケターが街中で見つけた、新しいトレンドを紹介。トレンドをマーケティングと異文化理解の2つのフレームから読み解きます。

パリで道をたずねたらフランス人は英語を話さない?
街中で外国人に道をたずねられたとき、あなたならどう対応しますか?日本では世代によって多少の違いがあるにせよ、英語が話せなくても知っている英単語を駆使し、身振り手振りで助けてあげる人が多いように思います。
それでは、パリで外国人がフランス人に何かをたずねると、どんなリアクションが待っているでしょうか。スマホがあるので、もはや人に道をたずねることもないですが、レストランや小売店で英語で質問すると、だいたい冷たくあしらわれ、「ここはフランスなんだから、フランス語を使いなさい」と嫌味を言われることすらあります。
国際色豊かなパリにして、英語が世界共通語であることを疑いたくなるほどに英語が拒否され、フランスで暮らし始めた外国人は、まず言語によるフランス人との境界線に直面するものです。今月はフランス語ができなくても、フランスで気持ち良く暮らすためのコツをご紹介したいと思います。

パリ市内の飲食店で顧客に対応する店主。
「フランス人が冷たい」は誤解 英語でフランス的な対話を育もう
フランス人に英語で話しかけて冷たくされるという問題は、フランスで暮らし始めた日本人が誰しも経験することです。ここで、くじけるとフランス人を誤解したまま過ごすことになりますが、実はこれはちょっとした工夫で解決できます。
「Excusez-moi, Monsieur/Madame, Est-ce que vous parlez anglai?(すみません、英語を話せますか?)」。
このマジックワードから会話を切り出すと、驚くほど相手の対応が変わります。「Yes」と英語に切り替えて対話してくれる人もいれば、英語があまり話せない人でも親身に話を聞いてくれようとします。つまり、フランス語で「すみません」としっかりと挨拶をするとフランス語を話そうとする姿勢が伝わり、対話のテーブルについてもらえるのです。
最後にまたフランス語に戻し、「Merci, Monsieur/Madame(ありがとうございました)」と御礼を述べ、相手から「Je vous en prie(どういたしまして)」と返事をもらい会話が締まると、会話の中身が英語だったとしても...