1999年、インターネット黎明期にマネックス証券を創業し、オンライン証券という新たなビジネスモデルを切り拓いた松本大さん。現在は金融の枠を超え、社会のあらゆる情報へのアクセシビリティを高める活動にも注力している。その活動の中核をなすのが、2023年に設立した「ルビ財団」だ。なぜ、松本さんは今、コミュニケーションにおける「ルビ」の重要性に着眼したのか。
天井まで届く本棚が原点 ルビが拓いた未知の世界の扉
松本さんが幼少期を過ごした自宅には、床から天井まで届く書棚が並び、無数の書物が収められていた。手の届く位置には、ルビが多く振られた本が置かれており、幼い松本さんはそれらを手当たり次第に引き出しては読み進めていたという。児童向けの探偵小説はもちろん、園芸書や美術全集まで、読む本のジャンルは多岐にわたった。「園芸の本には、一日に必要な日照時間や水の量といったことが、すべてルビ付きで書いてありました。だからこそ、科学の本なのに楽しく読めたのだと思います」と振り返る。
漢字という障壁なしに未知の世界に触れることができた、この経験は後年の松本さんにとって、あらゆる知性や興味への扉を開く原体験となる。約20年前、この体験をもとに、インターネット上でさまざまな書籍にルビを振った「インターネット総ルビ図書館」を構想する。しかし著作権の問題が壁となり、実現には至らなかった。そこで松本さんは、「まず社会全体に“ルビがあるほうがいいよね”という機運をつくろう」と方針を転換。啓発活動を積み重ねた末、2023年のルビ財団設立に結実した。
ネット証券もルビも同じ 誰にも開かれた場所をつくりたい
松本さんのルビに対する関心の根底には「人が何かに...


