富士フイルムの高井隆一郎氏は、インサイトを「消費者がまだ言葉にできていない感情や欲求の構造」と定義する。「instax“チェキ”」の価値を「撮影する機能」だけではなく、その後に生まれるコミュニケーションや体験まで含めて捉え直してきた背景にも、生活者の行動の奥にある感情への着目がある。インサイトをどのように見つけ、商品やブランドづくりにつなげているのか、話を聞いた。
インサイトとは、行動の裏側にある感情の動き
―高井さんは「インサイト」をどのようなものだと捉えていますか。
インサイトとは、ユーザーや消費者が、まだ言葉にできていない感情や欲求がなぜ生まれるのかという背景まで含めたものだと考えています。
顧客が欲しいものを明確に口にする「ニーズ」は顕在化した欲求であり、購買履歴などの「データ」はいつ何を買ったかという行動の実績・事実を示します。これらは極めて重要な情報ですが、データは行動を示しても、その裏にある「なぜその時、それを選んだのか?」という心の動きまでは語ってくれません。明確な事実の裏側に隠された、目に見えない・言語化されていない人間の本質的な感情の動きこそがインサイトであり、商品企画において重要視すべき要素だと考えています。
―生活者のインサイトを見つけるために、普段どのような観察や行動を意識していますか。
データ分析や調査会社を通じた調査も行いますが、インサイトを捉えるうえで最も重要なのは、やはり対面インタビューだと考えています。インタビューでは、生活者が発する言葉(回答内容)だけを見るのではなく、質問を聞い...


