複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
ANA サービスリニューアルで混乱
ANAは2026年5月19日搭乗分から、国内線サービスを全面的にリニューアルしました。予約システムを国際線と同じ外部のクラウド型システムへ統合するとともに、運賃体系を「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3種類へ改め、予約・搭乗のルールも国際線と統一しました。
ところが、移行直後からウェブサイトやアプリの動作遅延、オンラインチェックインの不具合が続発し、問い合わせ窓口もつながりにくい状態が続きました。ANAは6月11日、公式サイトにお詫び文書を掲載し、ANAホールディングスの芝田浩二社長は6月26日の株主総会で陳謝しました。上級会員制度の改定への反発も同時期に重なっています。
これら一連の経緯と対応は、新サービスの提供を開始する場合などに参考になります。
「不便さ」への配慮や共感を欠く
一連の混乱は「システム障害」として報じられる場面が目立ちました。しかし、SNS上の利用者の声を読むと、不満の矛先は障害だけではありません。
SNSには5月下旬から6月上旬にかけて、予約していたのに空港で「座席の余りがない」と告げられ搭乗できなかったという投稿が相次ぎ、オーバーブッキングを疑う憶測までありました。これらの投稿が批判しているのは、システムの不具合ではなく、新しい運賃制度に対してです。最安の運賃種別では事...


