複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
KDDI 子会社と孫会社で架空循環取引が発覚
KDDIは2026年3月31日、子会社のビッグローブと孫会社で行われた架空循環取引について特別調査委員会の調査報告書を公表し、記者会見を行いました。こうした会見の場合、報告書の内容に照らしてこれまでのガバナンス体制のあり方を否定し謝罪するだけになりがちです。しかし、KDDIの会見を見ると、必ずしもそうではありませんでした。
そこで、調査報告書の存在や内容を自社への信頼につなげるためには、どうやって広報に活かしたらよいかを解説します。
ガバナンスが機能していたことを説明
企業の不祥事が発覚し、第三者委員会の調査報告書が公表される際、多くの広報担当者は「いかに謝罪し、いかに事実を正確に伝えるか」という点に全力を注ぎがちです。もちろんそれは不可欠なプロセスですが、報告書の内容を社外に発信する際には、もう一歩踏み込んだ視点が必要です。それは、社内のガバナンスが「機能していなかった部分」を認める一方で、「機能していた部分」についても目を向けてもらえるようにすることです。単に「ダメな会社でした」とすべてを否定して終わるのではなく、自浄作用がどこで働こうとしていたのかを明示することで、企業価値が過度に低下するのを防ぐことにもつながります。
KDDIの事案では、2018年から長期間にわたり、2人の従業員(当時)が主導して...


