東京・広島の二本社制の山陽塗料。創業の地でもある広島本社の広報チームリーダー・川端健志は、大手メディアがひしめく東京に広報の主導権を握られている中、広島本社ならではの発信を目指すものの、苦戦を強いられていた。そんなある日、川端の携帯に、山陽塗料の社員が福山駅改札で劇物指定されている毒薬・トルエンを撒き散らしたという一報が入る。
中期経営計画の発表を翌日に控えた夜、「アオイ食品」広報課長の野口康太の携帯に、営業部長の小出久人から着信が入った。小出は副社長の染谷裕士が、懇意にする東京経済新聞(東経)の記者・福田亮二に、電話で「何か」を漏らしたのを目撃したらしい。一体、何のネタが漏れたのか─。眠れぬ夜を過ごした野口が翌日、東経の朝刊で見たものは、予想外の記事だった─。