複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
サントリーHD 役員相互のガバナンスが機能
問題の経緯
2025年9月2日
サントリーHDは9月2日、「代表取締役の辞任について」と題するプレスリリースで、同社代表取締役会長の新浪剛史氏が、9月1日付けで辞任した旨を公表した。同氏が適法であるとの認識の下に購入したというサプリメントに関して、警察による捜査が行われたことを受け、「代表取締役会長という要職に堪えない」と判断。同氏と協議する中で、辞任したいとの申し出があった。
サントリーホールディングス(サントリーHD)は2025年9月2日、新浪剛史代表取締役会長が1日付けで辞任したことを明らかにしました。同社は2日、退職の経緯を説明するプレスリリースを公表しただけでなく、鳥井信宏社長と山田賢治副社長による緊急記者会見も開催しました。
今回は、役員相互のガバナンスが問題になる場面での危機管理広報のポイントを解説します。
新浪氏が辞任するに至ったのは、海外から購入したサプリメントについて門司税関で大麻由来の違法な成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が検出され、8月22日に新浪氏の自宅にて警察による捜索が行われたことがきっかけです。
サントリーHDの山田副社長は、新浪氏に辞任を求めた理由について、「捜査は警察がする。ただ、潔白な...

