あらすじ
*この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
執刀した手術での医療過誤を認めず、隠蔽を続ける佐久間一真。関東医科大学附属病院には連日メディアが詰めかけるが、広報担当の三浦真理は上層部の指示に従いながらも葛藤を抱えていた。同じ頃、外科医の西岡翔太は術中の映像に、禁止されている操作の痕跡を見つけ、遺族の山本美智子と亮は訴訟を決意する。
真実を明らかにする責任
手術後に病状が急変して亡くなった山本幸三の執刀医を務めた佐久間一真。自身の過失を認めず、かたくなに事実の隠蔽を続ける中で、事態はさらにエスカレートしていった。
関東医科大学附属病院のロビーには記者が詰めかけ、カメラのフラッシュが絶え間なく光る。広報担当の三浦真理は記者からの質問を連日一身に浴びていたが、メモを片手に平静を装い答え続けた。
「現時点での事実関係は?」「調査中でございます……」執刀医である佐久間の不在も記者たちの不信感を増幅させた。SNSへの書き込みも次第に大きな波となり、世論は病院批判の声に傾いていた。
「人命を軽視している」
「医師は真実を隠している」
「広報担当の対応が横柄すぎる!」
その炎は、やがて病院内部に亀裂を生むことになる。そして同じ頃、山本美智子と亮の親子は、次の段階に進む決意を固めていた。病院に隠蔽の証拠を突きつけ、真実を明らかにする---桜が満開に近づく街角で、母親と息子の心は揺れながらも、確かな方向を向き始めた。小さな光が、静かに闇を切り裂こうとしていた。
親子が弁護士を通じて病院と佐久間を訴えて以降、佐久間は執務室に閉じこもり、書類の山に埋もれていた。「俺の手術は正しかった。間違いはない……」自分に言い聞かせるように繰り返す言葉も、次第に力を失っていく。
その間も事務室の電話は鳴り続け、SNSは病院批判で埋め尽くされた。「隠蔽だ」「責任を取れ」「説明をしろ」真実を求める声が重なっていく。
三浦は、日々の対応に追われながらも胸の内では葛藤を抱えていた。このまま病院の指示に従うだけで、人の命に関する真実を曲げていいのか。記者の鋭い質問を受けるたび、彼女の指は小刻みに震えた。
「現時点で判明している事実はございません」その言葉が空虚に響く。「またか」「この期に及んでまで…」記者からはそんな言葉が三浦に向けて浴びせられた。事務長は忙しいふりをして、この状況にも見て見ぬふりを決め込んでいる。彼女の心...


