「なぜ未然に防げなかったのか」という問いに正面から答えられるかが説得力を左右

公開日:2026年6月10日

  • 浅見隆行氏

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

西日本シティ銀行 行員の「BeReal.」の投稿で批判

2026年4月29日深夜、西日本シティ銀行の行員がSNSアプリ「BeReal.」で執務室を撮影・投稿しホワイトボードに記された顧客の氏名や営業数値目標が映り込んだ動画が、X上で拡散されました。

このケースで注目すべきは、事案そのものよりも、翌30日午後に同行が発出した「お詫びとお知らせ」がその後の批判をさらに増幅させたことです。以下では広報の側面についてのみ解説します。

「拡散した側を悪者に」と批判

批判の的になったのは、「お詫び」文中の「動画や画像が、拡散された事案が判明いたしました」というフレーズです。

「拡散された」という受け身表現は、拡散した側、すなわち本来、銀行が謝罪すべき顧客や社会の側にいる人たちを加害者の側に置く構造を生みました。その結果、「行員のミスを棚に上げて拡散した側を悪者にしている」という反発がSNS上で広がりました。

企業姿勢が問われる

謝罪においては、決して受け身表現が許されないわけではありません。同様に受け身表現を使いながら広報対応への批判を受けなかった、2024年6月のKADOKAWAランサムウェア事案と比較してみましょう。

両社の評価が分かれた背景は、3つ考えられます。

第一に、受け身表現における行為の主体...

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