複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
JICA 「アフリカ・ホームタウン」構想を撤回
問題の経緯
2025年8月21日
国際協力機構(JICA)は8月21日、第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)において「JICAアフリカ・ホームタウン」構想を発表した。「これまでの事業で培ったアフリカ各国と日本の地方自治体との交流を強化すべく、日本国内の4市を各々アフリカ4か国の『ホームタウン』として認定する」ものだったが、「移民の受け入れ促進」といった誤認識が広まり、各自治体などに批判が多数寄せられることに。JICAは9月25日に同構想の撤回を公表し、会見を行った。
国際協力機構(JICA)は2025年9月25日、「JICAアフリカ・ホームタウン」構想を撤回することを公表し、田中明彦理事長による会見を行いました。8月21日に開催された第9回アフリカ開発会議「TICAD 9」でJICAが発表した構想が、移民の受け入れを促進するものであるかのように国内外で報じられ、多くの批判が集まったことがきっかけです。構想発表から撤回までの一連の流れは、企業の意図を、世の中の人たちに正しく伝えることができなかった際の広報対応の反面教師として参考にできます。
「誤解」の多用は信頼の低下に
JICAが8月21日に公表した構想は、国内4市をアフリカの「ホームタウン」と認定し、将来日本とアフリカの架け橋となる人材を育成する国際交流を推進することを...

