マス広告で認知を獲得し、販促で売り場へ送り込む。2010年代まで機能していたその役割分担は、生活者の購買行動が複雑化した今、大きく変わりつつある。SNS、EC、店頭、リテールメディアなど接点が多層化する中で求められるのは、接点を増やすことではなく、どこで人が動き、何が購買につながったのかを検証することだ。AIによって購買のあり方も変わろうとする今、セールスプロモーションは何を担うのか。電通プロモーションの北原整社長に聞いた。
消費者行動の可視化し、物を売る中核として機能する
かつてセールスプロモーションは、テレビCMなどのマス広告で認知を獲得した後、売り場やキャンペーンへ生活者を“送り込む”役割として語られることが多かった。
しかし、電通プロモーションの北原整社長は、そうした時代認識そのものが変わってきたと話す。
「2010年代のセールスプロモーションは、テレビCMやマス媒体で認知獲得の施策をした後に、売り場やキャンペーンに送り込むという役割を担ってきました。しかし、この従来型のモデルでは、もう人も物も動きません。認知施策の“後工程”としてセールスプロモーションを考えるのは時代遅れということでしょう。では、今はどう捉えるべきか。人の行動を生み、購買までつなげる従来の役割から、どの手法が効いたのかという“効果検証”の役割が追加されました。数あるプロモーション手法から最適な方法を選び抜き、生活者の行動を設計する。そして、その先で購買を起こし、さらにはそれが効いたのかを検証し確かめる──。消費行動を可視化し、物を売るための中核として機能することが、強く求められていると思います。そんな今こそ、セールスプロモーションの出番です」(北原氏)
接点の“拡張”ではなく“高度化”の時代がやってくる
では、なぜセールスプロモーションは、認知の“後工程”ではなく、物を売るための“中核機能”にならなければならないのか。背景にあるのは、生活者の購買行動の複雑化だ。
生活者は今、同じテレビCMを見て、そのまま売り場へ向かうわけではない。もちろんテレビCMで商品を知ることもあるが、その後にSNSで評判を見て、ECで価格を比較し、店頭で実物を確認する。あるいは、店頭で商品を見た後にスマートフォンでクチコミを調べ、その場では買わず、後日ECで購入することもある。
さらに、リテールメディア、アプリ、会員向け施策、イベント体験なども含め、購買に至るまでの接点は多層化している。北原氏は、こうした変化によって、企業が見るべきものも...


