セールスプロモーションは「認知の後工程」ではない 生活者の行動を設計し、購買を検証する中核機能へ

公開日:2026年5月29日

  • 北原整氏(電通プロモーション)

マス広告で認知を獲得し、販促で売り場へ送り込む。2010年代まで機能していたその役割分担は、生活者の購買行動が複雑化した今、大きく変わりつつある。SNS、EC、店頭、リテールメディアなど接点が多層化する中で求められるのは、接点を増やすことではなく、どこで人が動き、何が購買につながったのかを検証することだ。AIによって購買のあり方も変わろうとする今、セールスプロモーションは何を担うのか。電通プロモーションの北原整社長に聞いた。

消費者行動の可視化し、物を売る中核として機能する

かつてセールスプロモーションは、テレビCMなどのマス広告で認知を獲得した後、売り場やキャンペーンへ生活者を“送り込む”役割として語られることが多かった。

しかし、電通プロモーションの北原整社長は、そうした時代認識そのものが変わってきたと話す。

「2010年代のセールスプロモーションは、テレビCMやマス媒体で認知獲得の施策をした後に、売り場やキャンペーンに送り込むという役割を担ってきました。しかし、この従来型のモデルでは、もう人も物も動きません。認知施策の“後工程”としてセールスプロモーションを考えるのは時代遅れということでしょう。では、今はどう捉えるべきか。人の行動を生み、購買までつなげる従来の役割から、どの手法が効いたのかという“効果検証”の役割が追加されました。数あるプロモーション手法から最適な方法を選び抜き、生活者の行動を設計する。そして、その先で購買を起こし、さらにはそれが効いたのかを検証し確かめる──。消費行動を可視化し、物を売るための中核として機能することが、強く求められていると思います。そんな今こそ、セールスプロモーションの出番です」(北原氏)

接点の“拡張”ではなく“高度化”の時代がやってくる

では、なぜセールスプロモーションは、認知の“後工程”ではなく、物を売るための“中核機能”にならなければならないのか。背景にあるのは、生活者の購買行動の複雑化だ。

生活者は今、同じテレビCMを見て、そのまま売り場へ向かうわけではない。もちろんテレビCMで商品を知ることもあるが、その後にSNSで評判を見て、ECで価格を比較し、店頭で実物を確認する。あるいは、店頭で商品を見た後にスマートフォンでクチコミを調べ、その場では買わず、後日ECで購入することもある。

さらに、リテールメディア、アプリ、会員向け施策、イベント体験なども含め、購買に至るまでの接点は多層化している。北原氏は、こうした変化によって、企業が見るべきものも...

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テレビCMだけでは動かない、そんな今こそ。セールスプロモーション

テレビCMや大規模な広告施策で認知を獲得しても、それだけでは購買や来店につながりにくい時代になっています。そうした中で、改めて期待が集まり、生活者の行動を後押しする役割を担うのが、キャンペーン、クーポン、POP・什器、店頭演出、DM、イベント、OOH、折込チラシなどのセールスプロモーションです。認知の先で購買やトライアルを生み出す、顧客との直接的な接点をより機能するものに進化させる重要性は高まっています。 本特集では、日本の広告費におけるプロモーションメディアの位置づけを起点に、広告会社、メーカー、小売の視点から、今こそ投資すべきセールスプロモーションのあり方を考えます。テレビCMやマス広告だけでは、人も物も動かない時代に、セールスプロモーションはどのような役割を担うのか。人と売上を動かす実務としてのセールスプロモーションのこれからを見つめます。

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