生活者とブランドが触れ合う場面は増え続けている。しかし接点が増えるほど、企業側の施策が分断され、生活者の体験も分断されかねない。さらに生成AI(特にLLM)の普及により、各接点での体験や評価は、次の生活者の意思決定にも影響を与えるようになった。こうした中で、博報堂プロダクツ代表取締役社長の橋本昌和氏が重視するのは、接点を単なる接触機会で終わらせず、生活者の次の行動を生む“機能する接点”へと運用していくことだ。広告で約束した価値を体験で裏切らず、顧客との関係性を育てていくために、これからのセールスプロモーションは何を担うのか。
単なる顧客接点から「機能する接点」へ進化させる
かつて、セールスプロモーションは、認知拡大と購買の“動機付け”を担うものとして捉えられることが多く、店頭施策やキャンペーンなど、個別接点で行動を促す役割として活用されてきた。店頭施策、キャンペーン、イベント、LP、SNS投稿など、生活者とブランドが接するさまざまな場面で、生活者が次の行動を起こすきっかけをつくる役割を果たしていた。
ただし、それらの接点は必ずしも連携できていたわけではない。店頭は店頭、キャンペーンはキャンペーン、SNSはSNSとして、それぞれが個別に機能する。博報堂プロダクツ代表取締役社長の橋本昌和氏は、そうした「点」として成り立っていたのが、2010年代のセールスプロモーションだったと振り返る。
セールスプロモーションという言葉自体は従来から存在するが、その役割や捉え方は大きく変化してきた。しかし現在、生活者の行動も大きく変化している。店頭、EC、アプリ、SNS、リテールメディアなどを横断しながら商品やサービスに触れ、さらに各接点での体験や評価、レビューが検索結果やLLMの回答にも反映されるようになった。
図1 現代のセールスプロモーションを形づくる3つのパラダイムシフト現代のセールスプロモーションを形づくる3つのパラダイムシフト
接点が増えれば、生活者を動かす機会も増える。そう考えたくなるが、橋本氏は、接点の数が増えたこと自体を重視しているわけではない。重要なのは、それぞれの接点が、顧客の次の行動や顧客との関係性を生み出す“機能する接点”になっているかどうかだと話す。
「単発で施策を実施するだけでは、生活者の行動は継続的なものになりません。企業側の施策が分断されてしまうと、生活者側の体験も分断されてしまう。だからこそ、セールスプロモーションは、顧客接点を“運用”することが重要になっていると感じます。顧客の行動をどう生み続けるか。顧客との関係をどう育てていくか。“点”として成り立っていたセールスプロモーションから、“機能する接点”へ。これを実現するために、接...


