顕在化したニーズが見えづらいコモディティの時代には、ヒットの鍵はインサイトが握る──多くの人がそれを理解してはいるが、実際にインサイトを見つけるのは簡単ではない。この問題に正面から取り組み、組織全体でインサイトフルなマーケターを育てる取り組みを進めている企業が味の素だ。同社マーケティングデザインセンター長の岡本達也氏と、同社のマーケティング顧問で、『新版「欲しい」の本質人を動かす無自覚な欲求「インサイト」の見つけ方』の著者である大松孝弘氏に、マーケター育成の取り組みを聞いた。
素晴らしいフレームワークも浅いインサイトでは機能しない
──味の素社は2023年にマーケティングデザインセンターを設立しています。当時、どのような課題意識をお持ちだったのでしょうか。
岡本:味の素では長年使っている独自のマーケティングのフレームワークがあり、基本的にはそのフレームワークに沿ってマーケティング戦略の立案や製品開発を考えてきました。それ自体の完成度は高いのですが、固定されたものを使い続ける中で、どうしても穴埋め問題のような使い方になってしまう、という問題がありました。
つまり「グループインタビューでお客さんはこう言っていた、だからこれがインサイトだ」という非常に表層的なものを入れてしまう。これは指導する側のレベルにも左右されるところがあって、上司が「それはインサイトではない。もう一度考えてきて」と言えればいいのですが、その判断ができずに通して...

