認知を獲得しても、店頭で商品が動かない。そんな課題の背景には、広告、販促、売り場づくり、データ活用といった施策の「分断」があるのかもしれない。電通プロモーションは2026年1月、異なる専門性を持つグループ4社を統合。各社や担当者に蓄積されてきた知見を「リテールナレッジ」として結集するプロジェクトを推進し、戦略立案から店頭施策、購買データを用いた効果検証までを一気通貫で支援する体制を構築した。メーカー、小売、ショッパーの三者を捉えながら、これからの「売り方」をどう変えようとしているのか。
認知獲得から販促まで 「施策の分断」が成果を阻む
──「予算を投じて認知を獲得しても、店頭で買われない」という課題を抱えるメーカーや小売が増えています。現在、リテール領域でどのような変化が起きているのでしょうか。
堤:今、リテール領域は大きな構造転換の渦中にあると考えています。かつてはマスメディアで大規模な認知を獲得すれば、店頭に商品を並べるだけでモノが売れる時代がありました。しかし生活者のメディア接触が多様化し、購買動線が複雑化した現在では、認知を広げるだけでは購買の決め手になり得ません。
宮越:私がクライアント業務を担当する中で感じるのは、ただ店頭に商品を並べるだけでなく、売り場そのものをショッパーの心を動かす「体験の場」として設計できているかが重要だということです。これまでのような認知をとって購買へつなげるという正攻法だけでは、必ずしも成果につながらないケースが増えていると感じます。
──そのような変化は、今回の4社統合の背景にあったのでしょうか
堤:そうですね。統合前、4社がそれぞれ分離していた時代は、プロモーション、売り場づくり、購買データ分析、デジタル活用という専門領域が会社ごとに独立していました。しかし今は、生活者のメディア接触も購買行動も激変しています。戦略立案という上流の部分から、下流の売り場づくりや効果検証まで、ワンストップで伴走する統合支援体制が必要不可欠だったのです。
宮越:クライアント課題や時代に順応して組織を再編したわけですが、電通プロモーションができたことで、キャンペーンや企画の段階から店頭販促の実行、さらには購買データの検証までをシームレスにつなぎ、1社で提供できるようになりました。言うなれば、各会社に分散されていた専門性が電通プロモーションという会社に一気に結集し、企画から実行までのスピード感と総合力が高まっています。
メーカー、小売、ショッパー 三者への「知見の集合体」
──その4社統合によって生み出された強みである「リテールナレッジ」とは、具体的にどのようなものでしょうか。
堤:私たちが持つ「リテールナレッジ」とは、過去のデータや成功事例、実績のことだけを指してはいません。メーカーの宣伝部・マーケティング部・営業部がもつそれぞれの課題感やブランドへの想いと、小売の戦略やバイヤーのロジック、そしてショッパー、この三者に向き合い、理解を進めてきた「知見の集合体」のことです。定量化、明文化されてこなかった、個人の頭の中にある知見も含みます。
宮越:もちろん、ID-POSや位置情報などを用いた定量データに加え、小売の52週販促計画の把握や将来の消費トレンドの予測、店頭でのマーケティングリサーチといった定性分析など、多角的なソリューションも保持していますが、そこにカテゴライズされない、暗黙知だった部分も含めての「リテールナレッジ」です。
図 電通プロモーションの「リテールナレッジ」
※独自調査とマーケティングレポートを定期的に発行。
──これまで各社に蓄積されていた「リテールナレッジ」が結集して強化されるということでしょうか。
堤:その通りです。以前はこの貴重な知見やデータが専門部署、担当者ごとに属人化していました。それを今、社内から徹底的に集めて棚卸し、AIと連携させて全社で共有・活用できるデータベースへと昇華させるプロジェクトを進めています。例えば社内のクリエイティブチームや制作チームなどにもこの「リテールナレッジ」を同期させることで、電通プロモーションが提供できる価値を最大化しようとしています。
「リテールナレッジ」が導く「三方よし」の実現
──「リテールナレッジ」は、どのような価値をもたらすのでしょうか。
堤:昨今、電通プロモーションに寄せられる相談を例にお話すると、今まさに潮目が大きく変わっていると感じるのが、メーカーからの商談支援やトレードマーケティングへのニーズの高まりです。今は「自社商品が店舗やカテゴリー全体の売上や体験価値にどう貢献できるのか」という流通側の視点を併えて提示できなければ、バイヤーの皆さまからの共感を得て良い棚を獲得することが難しくなっていますよね。
宮越:例えば1月の店頭販促であれば、「受験生応援」や「冬の健康管理」などの注力テーマ、「煮込み用の精肉鮮魚、根菜類」といった注力商品などの小売インサイトと、「正月明けの節約・簡便需要」といったショッパーインサイトを捉えたうえで、最も魅力的なメーカー商品の伝え方、販促方法をご提案できるのが、当社の「リテールナレッジ」です。「店舗全体の活性化にどう貢献できるか」という小売の思い描く売り場づくりに沿ったゴールを設定し、メーカーと小売の双方がより深い関係性を構築できるよう、ご支援します。
堤:一方で小売にとっても、商品陳列にとどまらず、店舗のファンを増やし、来店するショッパーの買い物体験をより豊かにする魅力的な企画を創出できるメリットがあります。例えば、メディア露出・話題づくりと店頭展開、購買キャンペーンを一体的に設計・運用することで、メーカー製品の売上伸長と共に、お店全体の活気づくりに貢献する成果が生まれています。メーカー、小売、ショッパーにとって「三方よし」となる良好な関係性を築くことが、私たちの目指す支援の形です。
「売れない原因」を整理 どの段階からでも伴走する
──プロモーションの戦略立案から店頭連動企画、効果検証まで包括的に支援できるからこそ、メーカーや小売の担当者からすると、「具体的にどこからどう相談すればよいのか」と戸惑ってしまいそうです。
堤:「売り場で何か打ち手を講じたいけれど、何から手をつければよいかわからない」「自社商品がなぜ店頭で動かないのか理由が解明できていない」といった、まとまりきっていない悩みの段階から声をかけていただきたいです。店頭ツール製作はもちろん、明文化されていない「売れない原因」の整理から一緒に「リテールナレッジ」を用いて紐解いていきます。
宮越:メーカーの成果、小売の店舗活性、ショッパーの買い物体験向上を理想論で終わらせず、具現化するのが電通プロモーションの強みであり、4社が統合した意味でもあります。販促の現場にある複雑な課題をともに解き明かすパートナーとして、電通プロモーションにご相談いただきたいです。
電通プロモーション
リテールプロモーション本部
リテール事業部 部長
堤 禎盛氏
電通プロモーション
リテールプロモーション本部
リテール事業部
プランニングディレクター
宮越のどか氏
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株式会社電通プロモーション
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EMail:kouhou@dentsupromotion.co.jp

