映画の物語や演出には、販促に通じる発想がある。人が惹かれる理由、動くきっかけ、広がる仕掛けをマーケティング視点でひもとく。名作や話題作を題材に、実務に役立つ企画やコミュニケーションのヒントを探る。
今月の映画
『箱の中の羊』
©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
あらすじ
是枝裕和監督の最新オリジナル脚本作。幼い息子を亡くした建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店社長の健介(千鳥・大悟)は、息子の姿形を再現した生成AI搭載のヒューマノイドを家族に迎える。我が子として愛そうとする妻と、戸惑いながらも受け入れようとする夫。だがAIとして成長する彼との生活の中で、夫婦は息子の死への想いを露わにしていく。人間とテクノロジーの葛藤を描く、少し先の未来の家族の物語。
私たちは自社の商品やサービスを展開する際、常に「正解」と「効率」を求めている。顧客の悩みを見つけ出し、データやAIを駆使して、最速でそれを「解決」する。しかし、すべてを型にはめ、最短距離で答えを出そうとするあまり、私たちは顧客との関係性において大切な“主観”や“想像力”を置き去りにしていないだろうか。
映画『箱の中の羊』(5月29日公開)は、そんな「AIの進化による正解」と「人間の感情」の境界線を描き出す、極めて示唆に富んだ作品だ。
本作は、『万引き家族』などで世界中を魅了してきた是枝裕和監督の最新...

