映像配信サービスの競争が激化する中、U-NEXTは独自のIPビジネス戦略で差別化を図っている。OTTプラットフォームを運営しながら、強化しているのが出版・書籍ベースのIP開発だ。なぜ、いま出版由来のIP開発に注力するのか。「IPを育てる」という本質と、2030年に向けた成長戦略を堤社長に聞いた。
U-NEXT
代表取締役社長
堤天心氏
IP business Vision ──企業が描く次なる成長構想
アニメやゲームに限らず、企業キャラクターやサービス、地域まで、IPを起点に成長を構想する企業が増えている。IPは、広告やコンテンツの延長として使われる存在から、事業戦略やブランド設計、組織づくりと結びつくテーマへと広がりつつある。本コーナーでは、IPをどう活用するかにとどまらず、企業がどんな成長構想の中でIPを位置づけ、どう設計し、運用しているのかに注目。テレビ局、エンタメ企業、一般企業のIP戦略構想を通じて、IPビジネスの現在地と、これからの企業成長の描き方を読み解いていく。
オリジナルIP開発は出版・書籍ベースで強化する
──U-NEXTがIPを意識して事業に取り組むようになった理由は?
OTTのプラットフォームビジネスの成長戦略や競争戦略を考えたときに、世間一般にオリジナル戦略が重要だと言われています。オリジナル戦略を紐解いて考えると、日本国内でオリジナリティのあるコンテンツをつくるには、本質的にはIPの川上から企画開発していかないと、将来的なスケールが見込めないだろうという問題意識がありました。単なる配信だけでは、そこにチャレンジしていけないだろうというのが、最初のきっかけです。
映像配信の世界ではNetflixをはじめとする巨大プラットフォームが台頭していますが、日本発コンテンツの強みや特長を考えても、そこにはやはり「出版」文化から生まれたコンテンツが根強い。そして、U-NEXTは日本で生まれたOTTプラットフォーム。オリジナル戦略の軸になるのは、そこだと思いました。
──しかし、日本には圧倒的な競争力を持つ出版社があります。その中で出版ベースのIP開発に参入する理由は何でしょうか。
前提として、彼らを競合だという視点は持っていません。そもそも日本は国際的にも「IP大国」だと言われます。そのエンジンになっているのが日本の出版文化です。毎年、何万というコンテンツが書籍、漫画というフォーマットを通じて量産され、市場の淘汰に耐え抜いたIPが“ヒットIP”としてスケールしていく。このサイクルが健全に回るのが日本の特徴です。
この前提のもと、U-NEXTはなぜ出版・書籍ベースを選ぶのか。映像配信サービスを提供する我々にとって、オリジナルのドラマや映画を開発するのと、オリジナルの小説や漫画を開発するのとでは、エコノミクスのフレームが...

