「ひらめきは待つものではない」脳科学で解く! アイデアを生む脳の使い方

公開日:2026年3月03日

  • 池田義博氏(メイジャパン)

購買行動が分散・多様化し、「いい商品をつくれば売れる」とは言い切れない時代、マーケティングや販促の現場で求められるのが新しい売上や利益を生む「ひらめき」や「アイデア」だ。
しかし、それは偶然やセンスの産物と見なされがちでもある。本稿では、記憶工学研究所所長の池田義博氏が、ひらめきを“才能”ではなく“再現可能な技術”として捉え、脳科学・認知心理の観点から仕組みとそのひらめきを生むプロセスについて解説する。

かつてマーケティングの世界では「よい商品をつくれば自然に売れる」という供給者側のロジックが通用していました。

しかし、現代の生活者の前には無数の選択肢が広がり、日々大量の情報が押し寄せています。この「モノが選ばれにくい時代」の本質を読み解くには、私たちの頭の中、つまり「脳」の仕組みを知る必要があります。

そもそも人間の脳は、体重のわずか2%ほどの重さしかありませんが、体全体のエネルギーの約20%を消費する、極めて「燃費の悪い」臓器なのです。

そのため、脳には本能的に「考えなくて済むなら、考えたくない」という強い節約メカニズム、いわば「超・省エネモード」が備わっています。脳にとって、未知の情報を一つひとつ精査し、比較検討することは、想像以上に重労働なのです。

特に情報過多な現代において、脳は認知の負荷を回避しようとする防衛本能を働かせています。少しでも複雑だと感じた瞬間、脳の情報入力の門番である「網様体賦活系(RAS)」という場所が、その情報をシャットダウンします。

つまり「選ばれない」という判定は、商品が悪いからではなく、生活者の脳が「生き残るための省エネ」として、私たちの情報をノイズとしてはじいているからなのです。

そこで現代のマーケティングに求められるのは、消費者に「考えさせる」負担を与えず、直感に働きかけて自然と心に残るようにすることではないでしょうか。いわば、脳にとっての「心地よさ」を設計する視点だと思います。

ひらめきを「才能」から「技術」へアップデートする

こうした閉塞感を打破するために期待されるのが「アイデア」や「ひらめき」です。ただ、多くの現場では、ひらめきを一部のセンスある人だけが持つ「天賦の才能」や「偶然の産物」として捉え、神頼みのような状態に陥っているのではないでしょうか。しかし、脳科学の視点に立てば、ひらめきは「再現可能な技術」として定義し直すことができます。

ひらめきとは、無から有を生む魔法ではなく、「既存の要素と要素の新しい組み合わせ」という脳内での化学反応にすぎません。この化学反応を意図的に起こすためには、脳の特性をハックする3つのステップをプロセスとして組み込むことをおすすめします(図1)。

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