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令和元年 新しい日本のプロモーション

ネットの力を吸収し発展した電子チラシ 新時代のテーマは「倫理」

  • 山岸祥晃氏(凸版印刷 パーソナルサービス本部本部長)

十数年後、令和の時代に生まれ育った子どもに「チラシって知ってる?」と尋ねたとき、彼ら・彼女らは何を指差すだろうか。多くのメディアが30年で様変わりしたが、なかでもチラシは筆頭に挙がるだろう。その勢いを絶やさないために必要なものについて、改めて考えておきたい。

    1683
    最新のメディアに付随する?

    チラシは越後屋(現=日本橋三越)の引札が起源とされる。新聞折込は大正から。現在はLINEでも。

1989→1998
このままのやり方では社会から取り残されるのではないか

ダイエーが小売業で初めて年間売上高1兆円を突破したのは、1980年のことだった。大量生産、大量消費が成熟し、流通革命と言われた時代を経て1989年に平成が始まった。

1995年1月17日、壊滅的被害をもたらした阪神淡路大震災後、助け合いながら、たくましく、大きなパワーで復興していった人々の生活インフラを支えたのは、多くの流通企業のネットワークでもあった。そうした面からも、小売の成長、拡大の力を確信できた時代だった。

しかし、初期10年間の終わりにはダイエーの業績が悪化する。次の中期10年の初頭にかけ、ヤオハンやマイカルも経営破綻し、イオンをはじめとする新しい流通の形に引き継がれることになる。

奇しくもダイエーが売上高1兆円を達成した1980年は、「セブン-イレブン」が国内出店数1000店舗に到達した年でもある。その10年後の1990年には4000店舗、1997年には出店数7000店と爆発的な成長をとげ、いまや2万店を超える。

つまり消費者の視線は、大量の商品を並べ、低価格で提供する大型スーパーから、取扱品目は少なくても街の至るところにある便利なコンビニへと移っていったのだった。

ダイエーやヤオハン、マイカルの経営破たんは、こうした消費者の価値観の変化への対応が遅れたことにあったのではないか。

スーパーに付きものだった「チラシ」も、画一化した情報を大量に、一斉に配布するやり方では、社会から取り残されるのではないか─こうした懸念は誰もが抱いていたものの、代替できる販促策もなく、課題は次の10年に持ち越されていく。

1999→2008
印刷チラシの最盛期からの凋落 価値の再定義が急がれる

平成中期の10年では、やはりインターネット時代の到来が最大のトピックスとなろう。Hilbert and López(2011)によると、双方向の電気通信による情報のやりとりのうち、インターネットの占める割合は1993年に1%だったものが、2000年には51%、07年には97%と急拡大した。技術革新とともに本格的な商用インターネットが幕を開ける。

いまでこそ日常的な存在となった電子チラシだが、「Shufoo!(シュフー)」は2001年に生まれた。当社のことではあるが、凸版印刷はチラシの印刷を生業としており、私もずいぶん長く印刷チラシの営業をしていた。その凸版印刷が、この年にネットチラシを立ち上げていたことは、インターネットがどれほどビジネスや生活のあり方に影響を及ぼしたのかを象徴するひとつとしても、過言ではないのではないか。

ただこのころはまだ、従来の印刷チラシの現場では「まだまだ大丈夫」という"空気"があった。B全版チラシがブームになったり、クーポン券付きチラシが企画されたりと、折込チラシ華やかなりしころだ。実にチラシの最盛期は2006年である。

しかし、いまの状況を見渡せばわかるとおり栄華は長続きせず、2006年を境に急激に減少する。2018年は最盛期の65%にも満たない …

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いよいよ新たな元号「令和」が施行となり、平成の次の時代となりました。令和時代にふさわしい「新しい日本のプロモーション」とは何でしょうか。「新しい」とは、過去になかった何かを生み出したり、これまでの流れを覆していたり、別の方向を指し示したりするもの。つまり、歴史を知らなければ、新しいアイデアを生み出せないのはもちろん、それが新しいのかどうか判断することすらできないのです。しかし、あまりのんびりしている暇はありません。かけ足で振り返り、「新しい日本のプロモーション」が何かを考えてみることにしましょう。

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