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令和元年 新しい日本のプロモーション

再びハックの道を突き進むか あるいは異なるあり方を探すか

  • 木村 賢氏(サイバーエージェント SEOラボ 研究室長)

インターネットが普及し、企業がさまざまな目的で利用するようになると、Webサイトそのものへの集客が必要となる。外せないのは「検索エンジン最適化(SEO)」の分野だ。そこでは、検索エンジン側、それをハックしようとする側に分かれた"30年戦争"がぼっ発。ただし戦火は消えたわけではない。

    1998
    検索の巨人Googleが誕生

    ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの両氏が開発した「BackRub」を前身に「Google検索」が生まれる。

1989→1998
検索エンジンが数多く生まれそして淘汰されていく

平成最初の10年間で多くの検索サービスが生まれました。しかし現在まで残っているものはほぼありません。(※1)生存の別れ道は「利用者のためになる検索結果を出す」「便利だから利用者が集まり、広告価値が生まれる」「得た資金でアルゴリズムを改善する」といったサイクルを回せたかどうかにありました。

※1 Yandexはロシアで現在も大きなシェアを持っており、日本で言えばYahoo! JAPANは根強い人気を誇ります(ただし、Yahoo! JAPANが現在用いる検索エンジンはGoogle)。グーグルは中国にも進出できていないことを補足しておきます

検索サービスを提供する企業にとって、検索結果を改善するのは、社会的責任としてはもちろん、ビジネスを継続させる上で当然のことです。

一方、検索エンジン最適化(SEO)の手法も、良かれ悪しかれ進化しました。ただ、平成の30年間をふり返ってなお、同じことをするか、一段上を目指すか、改元という形で区切りの付いたいまこそ、考えてみてもよいのではないかと思います。

さて、広義のインターネット検索エンジンは1990年の「Archie」が初と思われます。ただ現代のように、WWW上のWebページを検索するサービスは、1993年発表の「Aliweb」が最初になります。そして1994年には、「WebCrawler」「Infoseek」「Lycos」「Altavista」「Excite」「Yahoo!」など、数多くの検索エンジンが誕生しました。1995年以降も「Inktomi」や「Ask」「Yandex」などが世に出ていきます。

「WebCrawler」は、世界で初めて全文検索を採用した検索エンジンで、いまのロボット型検索エンジンの原型です。「Yahoo!」は当時、ディレクトリ型(※2)の検索エンジンで、手動で登録されたタイトルや説明文を対象に、アクセスしたいWebページを探せるようにしていました。

※2 手動登録であるディレクトリ型検索は、検索対象となるWebページの質を担保する上では有用だったのですが、Webサイトが爆発的に増えるにつれ、限界が訪れました。後に米ヤフーは後にグーグルの検索エンジンを採用します(現在の米ヤフーはマイクロソフトのBingを使用)。初期のグーグルは「Google検索」をOEMのような形で提供し、利益を得ていました。

1998年には、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの両氏が「Google検索」を開発します。

「Google検索」で特筆すべきは、「PageRank(ページランク)」を導入したことでしょう。引用が多い論文は優秀な論文だという経験的事実に基づき、多く引用≒リンクされているWebページを評価する仕組みで、「WebCrawler」に端を発したロボット検索の質を向上させたのです。

「PageRank」は検索エンジン最適化(SEO)の側面でもエポックメイキングでした。それまでのロボット検索は単にWebページ内のタイトルや本文などのほか、利用者には直接関係のないメタタグ内のテキスト、検索エンジンに登録した説明文などを対象としていたため、利用者にメリットのないWebページを検索結果に表示してしまうのが問題でした。

これを悪用すると、実際に情報を載せていなくても、有名企業や著名人などの名前を入れればアクセス数を稼げてしまいます。最初期の悪質なSEO手法と言えるかもしれません。

しかし、無益なWebページは外部からリンクされません。グーグルが「PageRank」で検索結果の順位を決める要素に"第三者の評価"を加えた結果、こうしたスパム行為は減っていきました。

さて、グーグルが生まれた1998年、検索連動型広告も産声を上げます。先鞭をつけたと言えるのはグーグルではなく、「GoTo.com」(※3)という検索サイトでした。同社が画期的だったのは、オークション方式で特定のキーワードを買い、入札金額が高い順に検索結果ページに広告を出せるようにした点です。

※3 「GoTo.com」はその後オーバーチュアに改称、米ヤフー、ヤフージャパンによる買収という道をたどります。

Webサイトは増える一方ですが、わたしたちが検索しようと考える語句は有限のため、ひとつの語句から得られる収益を高めるには、入札システムはうってつけの手法でした。

ただ、検索連動型広告が出てきても、当時のパソコンの検索連動型広告のクリック率は2~3割で、結局オーガニック(自然)検索のほうが多かったため、SEOは変わらず盛況となったと考えています …

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