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令和元年 新しい日本のプロモーション

ネット通販は「マーケティング機能」に消費者の信頼獲得とルール整備を

  • 中山 茂氏(中山茂マーケティングデザイン 代表取締役)

販売形態のひとつだった通信販売が、企業として成立し、業界として発展した昭和を経て、平成ではインターネット通販が立ち上がった。以降の30年間で目まぐるしく変化した購買行動についていけたのは、そうした新興企業だった。そして通販は「マーケティング機能」へ進化する。

    1876
    郵便制度と共に生まれた通販

    『農業雑誌』(学農社)が米国産とうもろこしを販売したのが国内通販の始まりとされる。

→1988
「業態」から「業界」へ 平成以前の通信販売

通販自体の歴史は古く、明治にはその萌芽がありました。以降、戦争によって一時期は終息するも、戦後に再び通販業態が現れ始めます。しかし通販の隆盛に伴い、誇大広告や契約の不履行といった消費者被害が問題となりました。

そこで1976年、通販を含む無店舗販売にルールを設ける「訪問販売法」(現=特定商取引法)が施行されます。そして1983年10月、通販企業各社の組織結成の働きかけと、通商産業省(現=経済産業省)の指導もあり、「社団法人日本通信販売協会」(JADMA)が立ち上がりました。

それまでは、通信販売は「業態」のひとつに過ぎませんでしたが、いよいよ「業界」として認められることになったのです。

この時代の通販のプロモーションはテレビCMや新聞チラシ、書店での無料持ち帰り、チラシ広告というアナログメディアが主流でした。カタログ通販は各社の特徴を生かし、総合カタログやカテゴリーカタログ、育児用カタログ、ライフスタイルに合わせた提案型など、品揃えとコンテンツが競争力の源でした。

90年代後半にはECサイトもちらほら出てきていましたが、当時はまだ検索サイトから自社サイトへ誘導することはあまりありませんでした。印刷メディアにURLを載せ、利用者にブラウザーへ手入力してもらったり、Webサイト同士で互いにリンクを張り、片方から片方へアクセスしてもらうことが中心だったのです。

販促策としては「バナー広告」が主流。おそらく雑誌広告のオンライン版ととらえられ、理解されやすかったからではないでしょうか。ポータルサイトというビジネスモデルは、広告料で成り立つタイプの雑誌ともスキームは似ています。

この時期の通販のマーケティング戦略では、デジタル化された商品データや顧客データを共通の基礎とし、各チャネルを利用する顧客に、そのチャネルに沿ったサービスを提供する「マルチチャネル」という考え方がもてはやされました。

まだ、チャネルごとに消費行動が異なるゆえに連携すべきという考え方はなく、ともかく各チャネルの顧客にとっての最大限の利便性を追求する時代だったのです。

1989→1998
ネット通販の登場「楽天市場」がスタート

平成最初の10年間で主役だったのは、カタログ通販や単品通販でした。1995年には「インターネット」が流行語となりましたが、その2年後の1997年にスタートしたのが「楽天市場」でした。

開始時は13店舗が出店しており、「秋葉原ツクモ電機」といったネットと相性の良さそうな店舗だけでなく、「近畿日本ツーリスト渋谷支店」「東急百貨店インターネットショップ」といった企業も見られます。

いまとは比ぶべくもないほど小さな規模ではあるものの、ネットショッピングモールが開かれたことは、今後の通販マーケティングの変化を予感させるものでした。

「楽天市場」以外にも、Eコマースサイトを構築しはじめるのですが、ダイヤルアップによるインターネット接続は、技術面でも費用面でも一般への浸透が容易とは言えませんでした。また、ネットを用いたマーケティング手法も未確立でしたから、ネット通販は傍流でした。

そして1998年10月、東京・渋谷に、米アマゾンの日本法人が開業します …

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いよいよ新たな元号「令和」が施行となり、平成の次の時代となりました。令和時代にふさわしい「新しい日本のプロモーション」とは何でしょうか。「新しい」とは、過去になかった何かを生み出したり、これまでの流れを覆していたり、別の方向を指し示したりするもの。つまり、歴史を知らなければ、新しいアイデアを生み出せないのはもちろん、それが新しいのかどうか判断することすらできないのです。しかし、あまりのんびりしている暇はありません。かけ足で振り返り、「新しい日本のプロモーション」が何かを考えてみることにしましょう。

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