「愛される」だけじゃない!企業キャラクターの販促力とその役割

公開日:2025年9月01日

  • 野澤智行氏(大妻女子大学)

企業キャラクターは、ブランドの“顔”として親しまれる存在であると同時に、マーケティング活動を支える重要な資産でもある。本記事では、キャラクターマーケティングを専門とする大妻女子大学の野澤智行氏が、キャラクターが「愛される」ために必要な要素や販促力の観点から、企業キャラクターの役割と可能性について解説。ブランドの世界観を体現し、消費者の行動変容を促す存在としてのキャラクターの価値を紐解いていく。

「企業キャラクター」とは、企業が自社の商品やサービス、ブランドイメージ、企業理念などを消費者や取引先に伝えるために、独自に開発・運用しているキャラクターのことを指します。つまり、企業やブランドの「顔」としての役割を担うため、わかりやすく親しみやすい存在であることが求められます。そのため、万人受けするような、癒される・ほっとするデザインや設定、動物をモチーフにしたキャラクターが多く見受けられます。

そもそも企業が、既存の人気マンガ・アニメのキャラクターや他社が開発したIPなどを使わずに、自社オリジナルの企業キャラクターをマーケティングに活用することには、以下に挙げる3つのメリットがあると考えられます。

①目的やターゲットに応じた柔軟な設計が可能

キャラクターの設定や名前を、マーケティングの目的やターゲットに合わせて自由に企画・開発できるため、比較的低コストで導入できる。

②運用コストが抑えられ、自由度が高い

イベントやWeb施策(特にSNS)での活用時にも、他社IPなどに比べてコスト負担が小さく、柔軟に展開できる。

③少数でも熱心なファンが利益に貢献

たとえファンの数が多くなくても、熱心な支持を得られれば、イベント来場やグッズ販売などを通じて一定の収益貢献が期待できる。

一方で、企業キャラクターを導入しても、運用の仕方によっては十分な効果が得られず、投資が無駄になってしまうリスクもあります。例えば、以下3つのような課題が代表的です。

①露出不足による認知の拡大失敗

広告展開やキャラクター付き商品の流通量が少ないと、キャラクターそのものの認知度が高まらず、訴求力が弱まる。

②話題性や個性の欠如

マスメディアやソーシャルメディアに取り上げられるようなインパクトや個性、ストーリー性に欠けると話題化が難しくなる。

③属人的な運用と継続性の課題

担当者に依存した運用体制では、異動などで継続性が損なわれ、組織と...

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企業やブランドが育ててきたキャラクターは、単なるブランドの「顔」や象徴を超え、売り場で選ばれる理由となり、ブランドと生活者をつなぐ存在へと進化しています。今回は、そんな企業が保有するキャラクターがどのようにブランド体験や購買行動に影響を与えているのかを掘り下げる特集です。広告塔でも単なるマスコットでもなく、“企業キャラクター”が、企業の中でどのように活用され、どんな価値を生み出しているのか──その力を、いま改めて問い直します。

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