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コストを抑えて、売上拡大 店舗がなくても千客万来!

顧客価値を創出する「店舗のメディア化」とは何か

海外で注目されるRaaSの概念をヒントにして生まれた蔦屋家電+。メディアの視点を持った同社が新しいビジネスモデルをどのような考えで立ち上げたのか、話を聞いた。

出発は課題解決

──どのような経緯で立ち上げたのでしょうか。

蔦屋家電+(プラス)は2019年4月に立ち上がりましたが、企画自体は1年前から動き始めていました。来店者の滞在時間や商品への関心度合いなどの店舗内のデータを取得し、商品を出展するメーカーに提供して対価を得るビジネスモデルです。

2015年に新しいスタイルの家電店として蔦屋家電ができ、4年間運営しましたが、物販で収益を得る小売のモデルに加え、集客力や情報発信力に特化した事業ができないかと考えたのがきっかけです。二子玉川 蔦屋家電には、オープン当初から、「プロモーションのためにスペースを借りられないか」という問い合わせが入っていましたので、商品を売るだけではなく、来店者に知ってもらえる点にも価値を見いだせると思ったのです。

そういった意味で、従来の小売の範疇だけで勝負をしてない店舗といえます。店舗のメディアとしての力をつかって顧客価値を創出しています。

また蔦屋家電+は他の課題解決にもつながりました。

ものづくりが多様化していろいろな製品が開発される時代になり、製品のお披露目先としてクラウドファンディングやEコマース×メディアのようなハイスピードかつ広い情報網でPRできる戦略が好まれるようになり、小売店に流れるのは2番手ということが増えてきました。通常の仕入れの流れだとプロモーションの流れから介入することは難しいので、「このままだと実物が見られない!」という状況が発生してしまいます。

結果、メーカーも購入後に思ったものと違ったなどの問い合わせを多く受けることもしばしば。なので、蔦屋家電+の枠組みはメーカー、消費者の課題解決にもなると感じています。

また、私自身が販売員をやっていたこともあり、販売員の価値を再定義できないかとも考えました。モノを売ることでしか評価されませんでしたが、今のモデルだと販売員の聞く力が評価されます。そこには強い思いがありました。

──コロナ禍の影響は。

オープンしてようやく1年たったときに、新型コロナの影響で休業になりました。ですが蓋をあけると、もうすぐ3年目です。出展企業からも延長更新をしていただいています。むしろ今は増えていて、昨対比で120%増加です。そのため現状では詰め詰めに展示しています。32枠しかないので、待っていただくことも発生しました。

モノはECでの売買が主流なので、小売に求められるものは、オフラインのタッチポイントなのだと実感しました。

店舗
蔦屋家電+が入っている二子玉川 蔦屋家電。書籍や家電などでライフスタイルを豊かにする提案がされている。

小売にメディアの視点を

──蔦屋家電など他の事業への波及効果はどうですか。

蔦屋家電は、ライフスタイル分類という編集の仕方で各エリアをつくっています。エアコン、テレビコーナーといったモノ軸ではなく、「リビング」といったコト軸で区切るなど。そこには蔦屋書店などを運営してきたなかで培った本の編集エッセンスが活かされています。

モノづくりとライフスタイルの多様化で、新しいカテゴリの製品が続々と生まれています。特にガジェットと一括りにされているジャンルは分類が難しいこともあり、取り扱いができないという判断もありました。ですがそこに蔦屋家電+ができたことで、いい意味でごった煮の状態になりました。ユニークなものを受け入れられる受け皿ができたのです。来店者にはコトだけではなく、よりバリエーション豊かなモノを提案できるようになりました。

このように、蔦屋家電+と蔦屋家電は役割が異なり、蔦屋家電+でモノづくり段階から関わらせていただき、二子玉川 蔦屋家電でライフスタイル提案(一般販売)につなげていくという形です。

ウェブメディアもまずはPVが重要ですよね。蔦屋家電もメディアと考えると客数が大事です。母体の蔦屋家電という集客装置があることで、蔦屋家電+も生きます。相互に相性がいいんです。

蔦屋家電+の入口に目玉の商品を展示する場所を設けており、面白いものを展示することに全力を尽くしています。遊園地、美術館のように楽しんでほしいと、そういうプロダクトを誘致しています。メディアと一緒で、コンテンツが大事なのです。

そのためバイヤーという位置づけも変化しています。メーカーから仕入れるだけではなく、一緒に市場調査、プロモーションを考えるマーケティング視点をもって関われるようになりました。1人ひとりがプロデューサーになったのです。

蔦屋家電でいきなり販売することができない斬新すぎるものも、まずは蔦屋家電+でお披露目してたくさんの人に触れてもらって...

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