マツモトキヨシは、ドラッグストア業界の成長が鈍化した際、先進的に顧客データ活用を進め、業績を伸ばした。データに関する考え方や活用の今後について、同社の松田崇氏に話を聞いた。

マツモトキヨシホールディングス 執行役員 営業統括本部 営業企画部長
兼 オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャー
松田 崇(まつだ・たかし)氏
1996年マツモトキヨシ入社。実店舗での店長経験などを経て、2000年より本部にて営業企画にまつわる業務に幅広く従事。現在は執行役員となり、マーケティングにまつわる営業企画の部長職とオンライン事業(国内・越境)のシニアマネージャー等を兼務。各部署を兼務する事で広い領域を俯瞰した視点から、データベースの活用した新たなマーケティング領域の構築、リアル店舗とオンライン領域の戦略立案に取り組んでいる。
直感や経験則では生まれない データが生む新しい発見
マツモトキヨシホールディングス(HD)は、2019年3月時点で公式アプリ1030万ダウンロード、LINEのフォロワー数1970万、メンバーズカード会員数2700万と、累計6000万超の顧客接点を持ち、それぞれで取得できるデータをマーケティング、商品開発、出店戦略など多岐に渡る分野で活用している。
「現在は、メンバーズカードからの切り替えを推進していることもあり、公式アプリのダウンロードが圧倒的に伸びています。当社としても、アプリをご利用いただければ、お客さまから得られる情報精度が上がり、よりワン・トゥ・ワンのコミュニケーションが可能になります」と話すのは、マツモトキヨシHDの執行役員 営業統括本部 営業企画部長兼オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャーの松田崇氏だ。
「たとえば、当社アプリの『家族会員機能』では、家族のアカウントをまとめることで、いままでメンバーズカードの貸し借りなどで取得できていなかった世帯ごとのデータなども取得可能になりました」
マツモトキヨシHDは、10年ほど前から顧客データを活用した"科学的なアプローチ"を試みており、成長が鈍化していたドラッグストア市場の中で、業績を伸ばした経緯もある。そのため社内では、トップダウンの指示や経験則による意思決定よりも、説得材料として定量的なデータを提示した人の意見のほうが通りやすいという。
「直観や経験則だけでビジネスを行うと、過去のくり返しにしかならないため、新しい発見も生まれませんし、間違いに気づけません …