大手スーパーの統合が進んでいる。流通アナリストでnakaja lab代表取締役の中井彰人氏はこれを「スーパー業界における総合スーパーが衰退し、食品中心のスーパーが主流になっていくという長期的なトレンドの終幕だ」と話す。今、スーパーマーケット業界に何が起こっているのだろうか。メーカーも知っておくべき事情を解説する。
最近、大手スーパーが絡んだ再編のニュースが多く報道され、一体何が起こっているのかと聞かれることが私自身増えてきました。大きな動きとしてはまず、イトーヨーカ堂が米国ファンドであるベイン・キャピタルに株式の6割を譲渡して、セブン&アイ・ホールディングスの連結子会社でなくなったこと。また、ほぼ同時期のことですが、ウォルマートの子会社を経て米国ファンドKKRの傘下となっていた西友が、大手ディスカウントストアであるトライアルホールディングスに買収されるということもありました。
西友に関してはすでに、北海道の店舗をイオンに、九州の店舗をイズミ(中四国・九州の大手スーパー)に譲渡しています。そのため、北海道・九州の譲渡があった昨年から、小売業界の再編が動き始めたという印象が、皆さんの中にもあるのかもしれません。
ただ、これらの一連の事例は、2000年代以降進んできた、スーパー業界における総合スーパー(食品、衣料品、日用品、雑貨などあらゆる商品を幅広く売っているスーパー)が衰退して、食品中心のスーパーが主流になっていくという長期的なトレンドのほぼ終幕と言える出来事です。
総合スーパーの三重苦はいかにして生まれたのか
総合スーパー衰退の歴史を振り返ってみると、まず2000年代以降にユニクロ、しまむら、ニトリ、ダイソー、ドラッグストア各社等、商品ジャンルごとの専門チェーン店が台頭しました。その影響を受けて、ワンストップショッピングを売りにして大きく成長した総合スーパーという業態は、昭和以降、食品以外の売上を奪われ...