売上を上げるためには、消費者の購買意欲を刺激して商品を購入してもらうことが必要だが、そもそも商品を手に取ってもらうためには、店頭に商品が並んでいることが重要だ。つまり、多くの棚を獲得している、マーケットシェアが高いブランドがより優位だと考えられる。本稿では、日本能率協会総合研究所の情報コンサルタントである德永翔太氏が、マーケットシェアの基礎的な知識を解説する。
馴染みの薄いカテゴリーの商品を購入する際、何を判断材料にするでしょうか。カセットコンロを例に取れば、機能・価格・デザインなど検討軸は多岐にわたりますが、「国内シェア No.1」という一言に心を動かされる方も少なくないはずです。シェアNo.1は、“日本で最も推されている証”。いわば〈全日本推し活選手権〉の優勝者なのです。
トップシェアの強力な武器 規模の経済と価格主導権
この推し指数を客観的に見ることができるのが「市場シェア」です。別名「市場占有率」とも呼ばれており、対象となる市場において自社製品が占める割合を表します。「商品の販売数量(金額)/全体市場の販売数量(金額)×100%」という計算式で算出できます。
トップシェアとなれば、事業規模が大きくなるほど単位当たりのコストが小さくなる「規模の経済」が働くため、さらにコストダウンなどの経営努力を重ねることで首位を盤石なものにできます。同時に価格主導権を握りやすくなるため、インフレ局面では極めて強力な武器となるでしょう。...