システムリニューアルに伴いログインIDのパスワードを再設定ください。

システムリニューアルに伴いログインIDのパスワードを再設定ください。

2020年以降の実店舗の新常識

小売業における実店舗の課題と将来へ向けた解決策

  • 松田優幸氏(消費者経済総研)

ここでは、これからの流通・小売業界が抱えるであろうさまざまな課題がある中から「3つの課題」について取り上げ、その解決策について、消費者経済総研 チーフ・コンサルタント 松田優幸氏が解説する。

変革の時代に「空間」が重要な理由

昨今、銀行業界は、大きな変革のときを迎えている。自動車業界でも同様だ。トヨタ自動車は、「いまが100年に一度の大変革期だ」とうたう。では、小売の実店舗はどうか。消費者経済総研では、小売業界もこうした例にもれず、未曾有の変化が起きているととらえている。

100年に一度の再開発が進んでいる渋谷では、昨年11月に「渋谷パルコ」が、新時代に向けた実店舗の魅力を存分に発揮した「未来型の店舗空間」として復活を遂げた。「渋谷パルコ」は、Eコマース(EC)の長所を取り込んだ「PARCO CUBE」を展開し、オフラインとオンラインを組み合わせた売り場を実現した。

「渋谷パルコ」で特筆すべきは、「エキサイティングな環境」である。ECでは、決して満たされることのないワクワクするリアルな空間が、そこにある。さまざまなデザイナーやクリエイターが共創し、デザイン、アートがあふれる空間となっている。

商業施設ではほかに、「南町田グランベリーパーク」が注目に値する。ここは、単なる四角い大箱の施設ではない。直線を組み合せて、アール(曲線)を演出しており、夕方から夜になると、大階段・エスカレーターが光り輝いて、施設全体が光の空間となる。施設自体にエンターテインメント性があるのだ。

「南町田グランベリーパーク」にはスタイリッシュさだけではなく、「安らぎ」もある。専用部、共用部ともに木と緑が多用されているのが特徴的で、トイレも例外ではない。町田市の「鶴間公園」と商業施設が連動、融和しているため、買い物の前後に、公園で「安らぐ」こともできるのだ。

筆者は、「渋谷パルコ」と「南町田グランベリーパーク」の両物件とも、グランドオープン前に訪れた。視察目的にもかかわらず、純粋に楽しく感じ、かつエキサイティングしてしまい、それぞれ5~6時間も滞在してしまった。

デジタルの拡大が続くこの時代では、リアル空間の商業施設と実店舗は「スタイリッシュな環境」や「エキサイティングな環境」、「リラックスできる空間」などで、人々を引き寄せる必要がある。そうすれば「在宅でEC」ではなく「外出して買い物」への誘導が、可能になるのだ。商業施設・実店舗業界も、変革期であるなかで、空間環境が、より一層重要なのだ。未来を見据えた「リアル空間のモデル」や「小売業の課題と解決策」を、この2物件は提示している。

さて、ここまでは商業施設について、である。しかし、個々の実店舗の...

この記事の続きを読むには定期購読にご登録ください

月額

1,000

円で約

3,000

記事が読み放題!

この記事をシェア

この記事が含まれる特集

2020年以降の実店舗の新常識

人口減少による人手不足の問題が顕著になるなどの時代の変化によって、流通・小売業には実践的な変化が求められている。2020年に入り、五輪という消費環境に大きな変化をもたらすイベントも迫る。今回の特集では、2020年以降を見据え、変化する顧客のニーズに対応し、テクノロジー活用や体験を重視した実店舗など、遠くない将来の「常識」となるであろう挑戦をしている実店舗や商業施設を紹介する。これからの実店舗づくりを左右する社会課題についてもおさらいしておこう。

記事一覧

MEET US ON