巻頭特集では、さまざまなコンテンツを通じて、「体験」を参加者らに提供し、彼らの心を強く惹きつける例を見てきた。こうした「体験」は、プロモーションでどのように活用できるか。電通の石阪太郎氏、神志名剛氏の両氏が解説する。

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Q そもそも「体験」とは一体、何でしょうか。
神志名︎▶ コミュニケーションの主体は消費者だ、そう叫ばれるようになって久しいですが、では、消費者はどこから(企業との)コミュニケーションをスタートさせるのか。私は、その起点こそが「体験」だと思います。
「体験」が発生するのは、イベントかもしれないし、店頭かもしれません。テレビを見るというのも「体験」と言えますが、イベントや店頭には、メディアを介さない、直接の体験の接点になるという強みがあります。
かつては、マス広告のような「空中戦」から、情報が欲しくなったら「続きはWebで」、さらに関心を引いた消費者にはイベントでアプローチといった、ステップを踏んでいくことが考えられましたが、現在では、こういうした手法はなかなか通用しません。
通用しない、というより、顧客を主語にするということは、彼らの自由自在な行動(カスタマージャーニー)に合わせるということなんです。「こうやって段階を経ていけば、購入に至るはずだ」というのは、企業側の考え方ですからね。
例えば、店鋪では商品を確認するだけで購入は通販サイトで行う「ショールーミング化」や ...