b8ta(ベータ)は、IoT家電やコスメ、ライフスタイルグッズ、自転車など最新の商品を体験、購入できる小売店だ。出品企業からの収益がメインとなり、その形態に次世代の小売にとってのヒントがあるはずだ。
売らなくてよい店舗とは
──どのようなビジネスモデルなのでしょうか。
b8taは2015年に米国サンフランシスコで創業し、世界共通のミッションは「Retail designed for discovery リテールを通じて人々に“新たな発見”をもたらす」です。こういったミッションから、通常の小売業とは異なっていると思います。
事業としては、店舗内の区画を商品の出品者に定額で貸し出すという内容です。サービスとしての小売、私たちはRaaS(ラース)(リテール・アズ・ア・サービス)と呼んでいます。
店でモノが売れなくても収益を上げられる「スペースのサブスクリプションモデル」というビジネスモデルです。販売ではなく、店舗ならではの体験に特化をしているのです。
─日本での展開について、引き受けられた経緯を含めてお伺いできますか。
前職は直営店舗を持つメーカーに所属しており、当時では新しかった体験型の店舗を立ち上げました。そういった経験などからも、データを可視化できる、体験に特化したb8taのモデルが魅力的だと感じました。2016年から話をいただいていましたが、2019年から携わることになり、2020年に日本に上陸しました。
コロナ禍ということもありましたので、「売らない小売」といったキャッチーな言葉で、小売の新しい形として知ってもらえました。立ち上げのPR戦略としてはうまくいきました。
日本独自の要素を取り入れつつ、定着できたと思います。
─どういった企業が、どういった目的で出品しているのですか。
出品企業は様々で、自転車、AIペット型ロボット、IoTデバイスなどバラエティに富んだプロダクトが集まっています。
店舗には約25個のカメラがついており、来店者の動きなどを検出し、定量的なデータを集められます。そういったデータも面白いのですが、日本の出品企業からは接客スタッフが集めた来店者の声のフィードバックが好評です。オンラインで集めにくい買わない理由などを、店頭でプロダクトを目の前にして聞けます。そのため普段は得られないユニークな声を集めることができるのです。
出品の目的は、その企業のフェーズによっても異なります。プロダクトに触ってくれるだけで成功であったり、新しい販路として捉えていたりと様々。クラウドファンディング中に出品する企業もありました。クラウドファンディングでは通常はプロトタイプに触れることができませんので、実物を見ることができる場として、活用いただいたのです。
具体例としては、AIペット型ロボット「MOFLIN(もふりん)」です。欧米のクラウドファンディングサービスに出し、通常だと8割くらいが欧米からの支援の中、出店したことによって日本からの支援が7割ほどになったと聞きました。
他にb8taの使い方としては、県の物産展的な使い方や、日本を軸にした海外展開などにも使ってもらえるのではないかと考えています。