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売り上げ・ブランドを高める「接客」

リピーターを生み出す接客プロセスとは

  • 東 利一教授(流通科学大学商学部)

「新規顧客にリピーターになってもらうにはどうしたらいいのか?」多くの企業が悩みに悩むところだろう。リピーターを得るためには、どのような接客が望ましいか。機械のように誰にでも共通するマニュアルがあれば簡単だが、相手はお客さま。そうもいかない。「サービス・リレーションシップ」という分野を専門とする、流通科学大学商学部の東利一教授に、多くの小売りに共通するであろう、サービスの「ベネフィット」と接客の「プロセス」について聞いた。

図1 「コア・ベネフィット」と「リレーショナル・ベネフィット」
「リレーショナル・ベネフィット」は長期的な関係構築によって生じるものを指す。

接客プロセスとそのポイント

新規顧客にリピーターになってもらうにはどうすればいいか。どのような接客が望ましいのであろうか。本稿では、主要な点を追いかけてみたい。

一見さんがお得意さんに変わるというのは、つまり顧客との関係性が変わっていくということだ。サービス提供企業と顧客のあり方を研究するサービス・リレーションシップの分野では、企業が提供するサービス自体がもたらす便益(コア・ベネフィット)以上に、企業との長期的な関係的取引の結果顧客が得られる便益(リレーショナル・ベネフィット)の重要性が明らかになっている(Gwinner et al.1998)。

「リレーショナル・ベネフィット」は次の3つから構成される。まずは「信頼ベネフィット」。買い物に感じる不安やリスクは、店員との信頼関係で解消されることがある。次に、「社会的ベネフィット」。店員と仲がいいかどうかということも、顧客にとっては重要なことだ。最後に、「特別待遇ベネフィット」。長いお付き合いになると店員個人から特別な待遇を受けることもある。つまるところ、お得意客との付き合いである。

では、新規顧客との関係を深め、リレーショナル・ベネフィットを提供するためには、どうすればいいのだろうか。化粧品店の接客調査とスーパーマーケットの日米比較を基に、考えてみよう。

新規顧客がリピーターになる要因を探るために、過去に百貨店の高級ブランド化粧品店の接客調査を行ったことがある。2010年の4月から7月にかけて、関西地域で短大生に月に1回のペースで接客体験をレポートしてもらい、その内容を定性分析した。

調査の結果、新規顧客をリピーターにかえる接客の、いくつかの要因が明らかになった。図2は、売場への入場から退店までの一連のプロセスとポイントである。

図2 「新規客への接客プロセスとそのポイント」
接客プロセスの見本図。一重に「声かけ」といっても、実際は目に見えないもの含め無数のバリエーションが存在する。どのような取り組みが必要かは、環境によって適宜検討してほしい。

接客の始まりで大切なのは、相談しやすい環境を整えることである。どのような商品・サービスを販売するにせよ、顧客は問題解決のために店舗を訪れている。まずは「声かけ」や「問いかけ」で顧客が抱く緊張感や不安を軽減し、悩みを相談しやすい環境をつくることが基本だ。さらにその悩みに対して、分かりやすく納得のいくような説明と共にアドバイスをすることによって、顧客の問題解決を導く。この問題解決によって顧客が得られるのが、コア・ベネフィットである …

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私たちが、商品やサービスを売ったり、買い物をしたりするとき、そこで交換されているのは、モノとお金だけではない。来店者は買い物のプロセスにまつわる良い体験を受け取り、販売側はブランド資産をより強くする。そうした、見えない価値と見えない通貨のやりとりもあるのではないか。「接客」は、どのような価値を顧客に提供できるのか。マーケティング視点での再考にはじまり、一線で活躍する店頭スタッフ、外国人対応、動画、テクノロジ─「接客」にまつわる、さまざまなトピックから、売り上げとブランド向上のヒントを探る。

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