広告で生まれた“買いたい”を逃さない 認知と売場をつなぐ三菱食品のDDマーケティングとは

公開日:2026年8月31日

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  • 三菱食品

広告で商品を知り、買いたいと思っても、売場で見つけられなければ購買には至らない。三菱食品がメーカーや小売業に提供する「DDマーケティング」は、生活者理解を起点に、認知から店頭施策、効果検証までを一つの流れとして設計するサービスだ。食品卸である同社が、なぜマーケティング支援に取り組むのか。佐藤紀子氏に、その狙いと成果を聞いた。

三菱食品
マーケティング開発本部
グループ事業開発グループ 事業開発ユニット
兼 メーカーソリューショングループ
佐藤紀子氏

広告で生まれた“買いたい”が売場で失われる?

広告を見て商品に興味を持ち、店舗を訪れた。それにもかかわらず、商品が売場にない、あるいは、どこにあるのか見つけられない。こうした状況が起きれば、せっかく生まれた生活者の“買いたい”という気持ちは失われてしまう。

この認知と購買の分断を課題として挙げるのが、三菱食品 マーケティング開発本部の佐藤紀子氏だ。佐藤氏は、アンケートやインタビューによる生活者調査をもとに、メーカーや小売業の課題を捉え、戦略や販促施策へ落とし込む業務を担当している。「メーカーが広告費をかけて認知をつくっても、生活者が店頭で商品を購入できる状態になっていなければ、売上には結び付きません。認知をつくる情報の流れと、商品を届ける商流が分断されることで、企業には販売の機会損失が生まれています」(佐藤氏)。

メーカーや小売業からは、“商品が売れない”、“カテゴリーが伸びない”という相談が多く寄せられる。しかし、売上という結果だけを見ても、その原因はわからないという。

「価格に問題があるのか、売場に課題があるのか、商品の価値が伝わっていないのか。次の打ち手を考えるためには、数字の背景にある生活者の価値観や食行動、情報接触の変化まで捉える必要があります」(佐藤氏)。

こうした認知と購買の分断を解消するために、三菱食品がメーカーや小売業に向けて展開しているのが「DDマーケティング」だ。

“見た、来た、買った”を一つの流れとして捉える

「DDマーケティング」は、生活者調査を起点に、戦略設計、デジタル広告、店頭施策、効果検証までを一気通貫で支援する三菱食品のマーケティングサービスだ。「DDマーケティング」では、まず、アンケートやインタビューを通じて、誰に、商品のどのような価値を、どう伝えるべきかを探る。その結果を広告や売場に落とし込み、施策後には広告への接触、来店、購買までの効果検証を行っている。

「売れたか、売れなかったかだけで終わらせるのではありません。DDマーケティングでは、広告を“見た”人が店舗に“来た”のか、実際に商品を“買った”のかまで捉えます。なぜ広告に反応したのか、なぜ購入したのかを分析し、次の施策に生かすことを重視しています」(佐藤氏)。

認知から購買までの生活者行動はどう追っているのか。具体的には、提携先であるクラシルアプリへの出稿や、ID-POSを用いた独自のターゲティング広告「コーバイコネクト®」を展開して、認知を獲得する。

店頭では、広告と連動したデジタルサイネージや販促企画の実施により購買を後押しする。

施策後は、行動データや購買データに加え、アンケートやチャットインタビューも用いることで、広告に反応した人や購入者の価値観、判断理由まで把握するという流れだ。では、なぜ食品卸である三菱食品が、こうしたマーケティングサービスを提供できるのか。

「当社は食品卸として、メーカーと小売業の間に立ち、商品、売場、生活者を横断的に捉えてきました。商品が生活者に購入される売場施策までを総合的に支援するからこそ、“見た”、“来た”、“買った”を実現できるのです」(佐藤氏)。

同社は、加工食品、酒類、菓子など幅広いカテゴリーを扱い、全国の多様な小売業と取引している。出荷データ、行動データ、ID-POSなどの購買データに、アンケートやインタビューによる生活者データを掛け合わせることで、“何が売れたか”だけでなく、“誰が、なぜ買ったのか”“なぜ買わなかったのか”まで分析できる。「生活者を理解すること自体が目的ではありません。分析結果をまとめて終わるのではなく、メーカーのブランド課題や、小売業の売場課題を解決する施策につなげることを重視しています」(佐藤氏)。

図 三菱食品の「DD(データ・デジタル)マーケティング」

新規顧客への訴求内容を変え売上は施策前の約3倍に

「DDマーケティング」を活用した事例のひとつが、ある高価格帯の麺つゆブランドだ。品質を評価するリピーターが多い一方、新たな顧客層をどのように獲得するかが課題となっていた。そこで三菱食品は、商品価値を理解する既存のロイヤル顧客と、未購入ながら購入意向を持つ新規ターゲットを調査したという。「既存顧客は、本格感や品質を重視し、原材料や製法へのこだわりを評価していました。一方、新規ターゲットは、健康や旬、調理の手軽さを重視し、商品には、だしのおいしさやうま味を期待していたことがわかったのです」(佐藤氏)。

この結果をもとに、既存顧客には“本格”、新規ターゲットには“簡単・洋風”という異なるキーワードの訴求軸を設定した。さらにID-POSから各ターゲットを抽出し、調査結果を反映したSNS広告を配信。店頭では、マネキン販売やポイント施策を組み合わせ、認知から購買まで一体で働きかけた。

その結果、新規ターゲットに向けた“簡単・洋風”訴求は、既存顧客向けの“本格”訴求と同等のクリック率を獲得。動画再生数と視聴完了数は上回り新規ターゲットに最適な訴求ができたといえる。施策全体の効果から新規購入者の獲得にもつながり、売上は施策前と比べて約3倍(対象企業前月比※数量)になったという。

「伝えたい人に、その人に合った情報を届けるだけでは十分ではありません。商品を欲しいと思ったときに、売場で購入できる状態まで整える。広告で喚起したニーズを、売場で確実に購買へつなげたことが成果につながりました」(佐藤氏)。

三菱食品は今後、こうした取り組みを個別の施策にとどめず、各種データを掛け合わせた情報価値の創出へと発展させていく考えだ。物流や商品供給に加え、生活者理解から情報を設計し、メーカー、小売業、生活者をつなぐ“情報価値創造卸売業”への進化を目指す。

「生活者が自分に合った商品や、その商品価値と出会える機会をつくり、新たな需要創造につなげていきたいと考えています」(佐藤氏)。

    お問い合わせ

    三菱食品株式会社 

    ddmarketing@mitsubishi-shokuhin.com

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