バズを起こせば売上もついてくる──その常識が通用しなくなってきている。認知を広げる「界隈」と、売上を生む「ファンダム」。この違いを理解し、愛とリスペクトを持って接続できた企業だけが、生涯顧客を獲得できる時代。「刈り取り」ではなく「応援購買」を。「数字」ではなく「身体感覚」を。インフルエンサーマーケティング2.0への進化条件について、第一人者が徹底議論した。
トライバルメディアハウス
取締役CVO/MordernAgeレーベルヘッド
髙野修平氏
SHIBUYA109エンタテイメント
SHIBUYA109 lab.所長
長田麻衣氏
バズ目的の施策は時代遅れ?進化条件は「界隈理解」
──まず率直に聞きます。現在のインフルエンサーマーケティングを俯瞰して、数字主語の設計には限界が来ていると思いますか。
高野:限界というより、従来のインフルエンサーマーケティングは最終的には売上に寄与したかを証明できないと思っています。インプレッション、再生数、コメント数は明確に算出できますが、「それが実購買につながったのか?」という成果貢献には疑問が残り続けたままです。
長田:事業会社側はインフルエンサーマーケティングを仕掛けたとしても、見るべきKPIは「再生数やいいね数だけでよいのか」と疑問を持ち始めている印象です。インフルエンサーマーケティングが施策の選択肢に入ることが当然になったからこそ、企業・ブランドの評価軸もだんだんとシフトしているのかもしれません。具体的に、評価として重視されてきているのは定性的な部分かなと。たとえば、インフルエンサーを活用した動画のコメント欄を見たときに「○○ちゃんかわいい」というコメントだけではダメといったことです。「この商品試してみたら美味しかった/よかった」という商品への発話がどれだけ生まれているかが大事になってきていると感じます。
──インフルエンサーに頼る施策を打つのは、どんなときが多いと思いますか。
高野:ブランドが抱えているのは、新規顧客獲得という宿命です。しかし、何をやっても、施策や効果は頭打ちになることが増えています。そこで多くの企業がIPやインフルエンサーとのコラボに走る。ファンも多く、影響力の高いインフルエンサーやキャラクターとの施策は、たしかに売れます。でも、それは「その人・キャラクター」だから買っているだけで、購買理由は、商品そのものではない場合が多いです。つまり、競合がその人とコラボしたら、生活者はそちらに移行してしまう。影響力の高い人とのコラボで立てた一時的な売上は、本質的な売上とは言えないんですよ。
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