ブランドは「信頼」による差別化が求められる時代へ

公開日:2026年9月30日

  • レイ・イナモト氏

情報へのアクセスが容易になり、消費者が企業の在り方をシビアに見るようになった現代、ブランドはどうあるべきなのか――「日本において『ブランディング』は、“表面的なイメージ戦略”だと誤認されているのではないか」と警鐘を鳴らすのは、I&COのレイ・イナモトさん。「ブランディング」と「リブランディング」の本質、そこにおけるクリエイターの役割、そしてこれからのブランドの生き抜き方について話を聞いた。

「ブランディング」から「ブランド構築」へ

I&COを2016年に立ち上げて今年でちょうど10年が経ちましたが、日々さまざまな企業の経営者とお話をさせていただく機会があります。日本企業の「ブランド」や「マーケティング」に対する意識について思うのは、ここ4~5年でようやく大企業のトップからも「やっぱりブランドが大事だよね」という言葉がちらほらと聞こえるようになってきたな、ということです。

かつては日本でチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)という役職を見かけることすら稀でしたが、この10年でかなり定着してきたように思います。ただ、その一方で少し気になっているのは、「マーケティング」という言葉自体がバズワード化しているのではないか、という点です。

背景にあるのは、ここ15年ほどでそれまで機能していた従来の広告の効果が急速に落ちてきたという事実。広告を打てばモノが売れる時代が終わり、企業も「これまで通りのやり方ではダメだ」と広く事業やブランドに目を向けざるを得なくなった。そうした焦りや危機感もあって、書店に行けばマーケティングのノウハウ本が溢れ、言葉だけが一人歩きしている印象を受けることがあります。

そうした変化と並行して、企業における「ブランディング」の捉え方も形骸化してきたように思います。そもそも日本企業においてブランディングとは、「イメージ」や「見せ方」「広告手法」といった表面的な取り組みとして捉えられがちでしたが、手軽なノウハウや短期的数字を追い求める風潮の中で、「ブランド」という言葉までもが「売るためのイメージ戦略」や「見栄えのいい広告手法」といった手元のテクニックへと矮小化されてしまった。「ブランドのことは現場や担当部署に任せておけば...

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