『命題』はなぜ「たいへんよくできました」なのか

公開日:2026年6月30日

  • 富永省吾 (LQVE)

音楽を取り巻く環境が変化する今、クリエイターが果たすべき役割とは。2025年に20周年を迎えたRADWIMPSの楽曲『命題』のアートワークや周年記念グッズのディレクションから、アーティストの可能性を拡張するクリエイターの思想を紐解く。

「ラブレター」から始まるプレゼンテーション

ジャンルを横断した多角的なクリエイティブワークや、新人アーティストの育成までを手がけるLQVEの富永省吾さん。彼のもとに、日本のロックシーンを牽引し続けるバンドRADWIMPS側から、メジャーデビュー20周年の節目のタイミングでクリエイティブディレクションの依頼が舞い込んだのは2025年のことだった。具体的には、デジタルシングルからアルバムなどのメインビジュアルやリリックビデオといった楽曲の世界観を形づくるクリエイティブ全般のディレクションだ。これまで富永さんはRADWIMPSの仕事を担当したことがなく、過去の映像制作やアートディレクションなどの仕事を見たうえで、直接の指名が来たのだという。

最初に対象となった楽曲『命題』は、初期衝動のような疾走感や荒々しさのあるサウンドと共に現代社会への疑問や葛藤をストレートに投げかける、まさにバンドの原点回帰とも言える力強い曲だ。ファンの間では「RADWIMPSの集大成」と称する声も多い。2025年7月にリリースされた。

富永さんは仕事に取り組む際、独自の流儀を持っている。プレゼンテーション資料や戦略を先に提案するのではなく、まずはその対象に対する自らの解釈や想いをつづった文章、いわば「ラブレター」を送るのだという。「最初からアイデアを一覧で提示する...

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