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新時代「令和」に生きる ブランドの新しいかたち

国際都市・大阪を支える地下鉄の新たな活動へとつなげるCI

大阪市営地下鉄は2018年4月、大阪市高速電気軌道株式会社に運営を引き継ぐ形で民営化された。新たな愛称は「Osaka Metro」。国際都市・大阪を支える地下鉄の新たなシンボルマークは、Metroの「M」の中にOsakaの「O」を内包している。

AFTER

BEFORE

世界の地下鉄のマークをリサーチ

開業からさかのぼること約1年前の2017年7月、大阪市交通局は民営化後のコーポレート・アイデンティティ(CI)構築を行う事業者の公募をはじめた。その内容は愛称とコーポレートスローガンの開発、コーポレートカラーやロゴなどのデザイン開発、車両用シンボルや名札などのアプリケーション開発、セレモニーやPRの企画・実施など、多岐にわたる。

公募の中から選ばれたのはジェイアール東日本企画(jeki)と日本デザインセンターだ。「コンペに手を挙げたjekiは、新駅オープンのセレモニーやイベントなど鉄道関係の施策やプロモーション、PRに慣れています。一方、私たち日本デザインセンターはJRが民営化した際にCIを開発した実績があり、jekiから“CIの専門家”として声がかかり、両社の強みを掛け合わせる形でコンペに参加しました」と、CIを手がけた日本デザインセンター アートディレクター色部義昭さん。

コンペの要件はCIのデザイン案の提出ではなく、“CIをデザインして、どう浸透させていくか”という考え方が求められた。「今回のCIはインパクトの大きな民営化に対して必要とされる外部的な面と同時に、インナーに対する意識改革の側面も期待されていました。というのも、市営地下鉄の職員の皆さんはこれまで公務員でしたが、民営化後は民間企業に再就職し、自分たち主体で運営、経営していくことが求められるからです」。2017年8月中旬の各社のプレゼン後、jekiのプランニングチームによる緻密なCI戦略が大きく後押ししたこともあり、まもなく受注が決定。jekiと日本デザインセンターの最初の提案は10月に行われることになった。

その間わずか2か月。限られた時間の中で、チームメンバーは自分たちの足とインターネットの両方を使って、リサーチをはじめた。「まずはjekiが先導する形で、利用者である市民、地下鉄関係者、経営陣と三者に対してインタビューを行い、皆で分析をしました。また、デザインセンターのスタッフで大阪の地下鉄に乗って、町を歩いて、地元のお店で食べて、自分の目で見てまわりました。普段東京で働いている僕らが大阪を雑に見て、“大阪はこうだ”と決め付けてはいけない、そのことを強く意識していました」(色部さん)。

共に歩いたコピーライターの川原綾子さんは「最初は道頓堀などよく知られた場所のイメージしかありませんでしたが、実際に歩くと伝統ある建築も数多く残されていて、大阪はとても美しい街でもあることに気づきました」と話す。

大阪の調査を行いながら、インターネットを使ってより広い視点で見るべく、世界の地下鉄事情もリサーチした。「最初に確認したのは、グーグルマップ上で地下鉄のアイコンがどのように見えるかということ。現場で見る大きなマークだけではなく、極小サイズまで、どのように展開されているかを知っておきたかったからです」と色部さん。世界の地下鉄のマークを調べたところ、面白いことが見えてきたという。

例えばロンドンはイギリス国旗の青と赤の2色が使われているため小さいサイズにしても目立つうえ地域性も感じられる。モスクワは、伝統的な建築様式の尖塔型屋根と呼応する尖ったMのマークが街並みに自然に溶け込んでいる。一方で中国は、独特の漢字表記のため外国人旅行者は読み取ることができない……などだ。あと全体的にメトロの「M」を使ったマークが多いこともわかった。

「良い例も悪い例も見た結果、Mというイニシャルを用いたマークが国内外に向けてわかりやすい。そのため、マークとして美しいだけではなく、初めて大阪に来た人にも“ここが地下鉄である”と想起できるものにしようと思いました。あとは乗り入れている地下鉄は、他線と同時にマークが表示されるから混同しないところもポイントと気づきました …

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