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「GLASS:THE LION FOR CHANGE」に見るジェンダーの描き方

公開日:2019年8月15日

  • 木下舞耶(電通)

性差別や偏見を打ち破るクリエイティブを讃える部門として、2015年にカンヌライオンズに創設された「GLASS:THE LION FOR CHANGE」(以下 グラス部門)。カンヌライオンズにおいてジェンダーや社会課題への取り組みが年々重視される中、今年からグラス部門ではショートリスト通過作品が公開プレゼンテーションを行う「LIVE JUDGING」が始まった。今年、このプレゼンテーションを見学した電通プランナー 木下舞耶さんに話を聞いた。

LIVE JUDGINGの様子。

プレゼンテーションで問われるのは、サスティナブルか

私は今年のカンヌライオンズで、電通が実施したセミナー「The Paralympics Impact on Our Creativity and Humanity」でモデレーターを務めさせていただきました。自分自身がアメリカと日本のハーフということ、そして以前からダイバーシティやジェンダーについて個人的に関心を持っていたので、これまでも自分なりに事例を調べたりしていました。そんな経緯もあり、今年のグラス部門のプレゼンテーションを見学しました。

ショートリストに残った23作品が、2日に分けてプレゼンテーションされたのですが、その多くにエージェンシーのクリエイティブディレクターとクライアントが一緒に登壇していました。しかも、クライアントのトップに近い立場の方が登壇していたので、審査員も「え、この人が出てくるの?」と驚いていました。その上、みんなものすごく熱いプレゼンテーションで、涙ぐむ審査員もいたほど。こうした課題に取り組むことが、企業が自社のパーパスを実現していく上で重要なことになってきている、そのことを改めて実感しました。

プレゼンは1作品12分程度なのですが、そのあとに審査員が次々と質問します。よく聞かれていた質問が、「What’s the next step?」。つまり単発で打ち上げたものではなく、その取り組みを継続しているのか。あるいは、それを次の段階へと発展させているのか、ということでした。部門名に「CHANGE」とあるように、いかに変えたのかという部分が重視されていました。

グラス部門立ち上げ当初は、企業のアティチュードが問われましたが、次第に議論や対話を起こすファンクショナルな取り組みになり、いまはサスティナブルが重視されるようになったんです。今年のカンヌライオンズのキーワードとしては「SAY LESS DO MORE」。クライアントもクリエイティブもムービーをつくって終わりではなく、その先まで見据えたアクティビストにならなくてはいけない時代になったわけです …

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時代の先を行く企業に学ぶ 世界のクリエイティブ

世界最大級の広告祭であるカンヌライオンズは、2018年に会期や部門などを大きく刷新。今年も新たに2部門が設けられるなど、広告界の動きに合わせて変化し続けている。エントリーされる作品は、いずれも大きな成果をあげたブランドキャンペーンや最先端の手法で制作されたクリエイティブなど。そこには、新たな切り口やアイデアを見ることができる。近年は社会課題が大きなトレンドになっているが、いまも変わらずカンヌライオンズは、広告界にとっての新しいケーススタディが溢れる場であることは間違いない。

その現場に行かずとも、受賞およびエントリー作品や審査員が何を語ったかを知ることは、これからの広告を考える上での大きなヒントになるはずだ。本特集では今年のカンヌライオンズの受賞作品を振り返るともに、参加者や審査員による作品・セミナーの分析と解説を紹介する。

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