グッドデザイン大賞を受賞したのは、「オーサグラフ世界地図」。これまでの長方形の世界地図に生じていた大きさや歪みを極力おさえた、正確な地球の全体像を示す四角い世界地図だ。制作者のひとり、鳴川肇さんに話を聞いた。

AuthaGraph 鳴川 肇(なるかわ・はじめ)
1971年生まれ。建築家・構造家。慶應義塾大学環境情報学部 准教授。芝浦工業大学、東京藝術大学およびベルラーへ・インスティテュート・アムステルダムの修士課程を卒業。アーネム建築アカデミー講師、佐々木睦朗構造計画研究所を経て、2006年にNAL設立。2009年にAuthaGraphを設立。
三角形を組み合わせて地図をつくる
今回、大賞を受賞した「オーサグラフ世界地図」は、私たちが長く研究を続けてきたものです。これまでの一般的な地図は、メルカトル図法が用いられ、四角い平面にあてはめるために、大陸の大きさや形に歪みがありました。「オーサグラフ世界地図」は、多面体図法を用い、心射投影と正射投影を組み合わせて、大きさや形の歪みを極力減らし、なおかつ地理関係を損なわず、地球の全体像をほぼ正確に示した世界地図です。地図はシームレスにつなぐことができ、地球のさまざまな場所を中心として世界を見ることができます。
地図図法には面積、形、方位、距離の4つのものさしがあります。全てを満たす解はないことは数学的に証明されており、面積を正しくすると形の歪みが増大します。実際の地球上での見え方とかけ離れることがないように、この4つの歪みが少なくなる組み合わせを試行錯誤の上に導き出しました。これにより …