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日本発マンガ・アニメ市場を活性化させるクリエイティブの力

目指すは「国民的なマンガ」、最終回を迎えた『東リベ』の広告展開

2023年1月17日、『週刊少年マガジン』(講談社)で2017年から続いてきた人気マンガ『東京卍リベンジャーズ』の最終巻(31巻)が発売された。物語が勢いづいてからこれまで、主な広告展開を企画してきたのは講談社 宣伝部の田幸志朗さんとTBWA\HAKUHODOのクリエイティブディレクター 宇佐美雅俊さん。2人にこれまでの主な広告展開を振り返ってもらった。

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「日本リベンジャーズ」と題して、21年9月からJR東京駅に47都道府県の47種類のポスターを掲出。また地域ごとに異なる47種の新聞広告を出稿した。

©和久井健/講談社

47都道府県の人々を巻き込む

『東京卍リベンジャーズ』(以下、『東リベ』)は『新宿スワン』で知られる和久井健さんによる漫画作品。アルバイト暮らしの26歳の“ダメフリーター”・花垣武道はある日、中学時代の恋人である橘日向が、悪党連合「東京卍會」の抗争に巻き込まれて殺されたことを知る。その翌日、駅のホームで何者かに突き落とされた武道。死を覚悟したその瞬間、なんと中学時代にタイムリープする。それを機に彼は、現在と中学時代を行き来しながら「日向が殺されない未来」をつくるべく奔走する──。

コミックスは2022年末に累計7000万部を突破。21年4月からテレビアニメが、同7月から実写映画が公開された。23年4月と6月にも、映画第2弾、3弾の公開を予定している。

コミックスの発売当初より、講談社ではプロモーションを行ってきたが、2021年9月から展開した「日本リベンジャーズ」が初の大規模な広告展開となった。「このタイミングで実施したのは、21年4月のアニメ化、7月の映画化という大きな話題創出のタイミングで得た勢いを、9月のコミックス24巻発売に繋げていきたいと考えたからです」と田幸さん。8月の頭にオリエンを実施した。

その際にTBWA\HAKUHODOの宇佐美雅俊さんのチームが提案したのが、「日本リベンジャーズ」の企画だ。「『日本』と銘打ったのは、『東リベ』を国民的な漫画にしたいというオリエンを受けてでした。そこで日本全国の人々を巻き込む企画を考えていきました」(宇佐美さん)。

まず21年9月13日から、JR東京駅に47種類のポスターを掲出した(02)。これは各県に主要キャラクターが割り振られ、その地域のご当地ネタを方言で話す内容。さらに同17日の朝日新聞朝刊には、県とキャラクターの組み合わせは同じままセリフを変更した、地域ごとに異なる47種の15段広告を出稿した(01)。なお東京のみ「日本リベンジャーズ」として主要キャラクター全員が登場している。

「日本全国の人々により愛されるマンガにするためには、各県の方に自分ごと化してもらうのが良いと考えました。作中でも地域ごとにチームがあり、そのプライドをかけて戦いを繰り広げます。それを県ごとに地元の愛を叫ぶ形で展開できたら、作品の文脈との親和性も高くなると考えました」(宇佐美さん)。

新聞とポスターは、それぞれセリフから考えていったという。「まずはチームでデスクリサーチをし、各県の“あるある”を探していきました。東京は全国を代表する内容なので、それを除いた46道府県のセリフを、新聞とポスターで2パターン。計92のセリフを考えていきました」(宇佐美さん)。

「くまモンの親友(ダチ)がやられとっとに日和(ひよ)っとる奴おるや?」(ポスター/熊本県/マイキー)、「英語にするとサイレント・ヒル…イケてるら?」(新聞/静岡県/ドラケン)など、ちょっと抜けた地元自慢と方言が込められている。「自虐をしすぎるのも、他の県との敵対感をあまり押し出しすぎるのもよくないなと。地元への愛を感じられて、くすっと笑えるセリフを目指し、宇佐美さんたちにはさまざまな提案をしてもらいました」(田幸さん)。

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2021年、世界における日本のアニメ市場は2兆7422億円と過去最高に達しました(日本動画協会調べ)。出版業界でも電子を含むコミック市場は、紙のマンガのみだった90年代半ばを上回り過去最高となる6759億円と賑わいを見せています(出版科学研究所調べ)。主要駅のOOHを見ても、マンガ・アニメ、あるいはアイドル・音楽といったエンターテインメントに紐づく広告で埋め尽くされている現状も。広告市場においてこれらコンテンツ関連の出稿が増えるとともに、その作品の魅力を引き出す表現や、話題化のためのSNS活用などのアイデアが求められる状況となっています。今回は近年の成功例などとともに、強いコンテンツそのものの勢いをさらに加速させる表現を探っていきます。

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